研究課題
piRNAは、相補的な配列を持つ遺伝子の発現を抑制する生殖細胞特異的な機能性小分子RNAである。申請者は、ショウジョウバエを用いたpiRNA生合成因子探索の結果、ATP依存性RNAヘリカーゼであるArmitage(Armi)を同定した。ArmiはpiRNA生合成過程の中間体に結合することが示唆されたが、その詳細な機能には不明な点が多かった。本研究では、これまで詳細な解析がされていなかったpiRNA生合成遷移過程の中間体を捉えるために、Armiが結合するpiRNA中間体の配列解析手法を確立した。また、piRNA生合成に関与する因子群が関与するpiRNA生合成の分子メカニズムの解明を目指した。これまでの研究から、Armiに結合したpiRNA中間体の5'末端から、24~30番目の塩基がエンドリボヌクレアーゼZucchini(Zuc)によって切断されることで成熟型piRNAが生成されることが示唆されていた。本研究ではタンパク質が結合したRNAの5'末端を一塩基レベルで同定する手法であるCLIP followed by parallel analysis of RNA end(CLIPPARE)法を独自に開発し、Armi結合RNAの5'末端配列を解析した。その結果、Armi結合RNAの5'末端は多くの成熟型piRNAの5'末端と一致することが明らかとなり、ArmiがpiRNA中間体に結合することを証明し、この成果を論文として報告した。また、Armiと相互作用するpiRNA生合成必須因子であるYbとGasZの機能を解析した結果、Ybは細胞質顆粒構造体を形成することでpiRNA前駆体を選択的かつ局所的に集めることでpiRNA生合成を効率化すること、GasZはpiRNA成熟化の場であるミトコンドリア外膜上にArmiを局在化させることをそれぞれ明らかにし、論文として発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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