研究課題
本研究では体細胞分裂から減数分裂への切替えに働く新規の因子MEIOSINを同定した。ChIP-seq解析を用いて精母細胞におけるMEIOSINのゲノム結合部位について検討した。その結果、MEIOSINとSTRA8は減数分裂関連遺伝子のプロモーター近傍に結合することが判明した。この事実と符合して、MEIOSINの標的遺伝子の多くは、Meiosin を欠損させた精母細胞で発現低下が見られた。したがって、MEIOSINは減数分裂関連遺伝子を活性化する転写因子として働いていることが示唆された。このMEIOSINの制御下に置かれている遺伝子群の中には、減数分裂を特徴付ける染色体関連の遺伝子以外に、cyclin A2などの体細胞型転写産物を不安定化に導くmRNA分解系の遺伝子なども含まれる。したがってMEIOSINは体細胞分裂型の細胞周期の抑制と減数分裂プログラムの活性化とを協調する役割があることが示唆された。mRNAの5’-CAP構造を検出するCAGE-seq解析から各転写産物の転写開始点を知ることができる。精母細胞におけるCAGE-seqデータとの比較から、ChIP-seq解析の結果をさらに精査したところ、MEIOSINの結合部位は転写開始点あるいはそれよりやや転写方向の3’側とよく一致することが判明した。減数分裂関連遺伝子は減数分裂進行に先駆けて転写のpausing状態にあることが知られている。減数分裂に先駆けて、MEIOSINは転写がコンピテントな状況にある遺伝子の発現を短時間のうちに発火させる役割があることが推定された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Dev. Cell
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doi.org/10.1016/j.devcel.2020.01.010
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http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/bunya_top/chromosome-biology/