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2018 年度 実績報告書

可溶型GalNAc転移酵素を用いたO-GlcNAc修飾タンパク質の網羅的機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17H03639
研究機関東京大学

研究代表者

山本 一夫  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20174782)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード糖鎖 / 翻訳後修飾 / 糖転移酵素
研究実績の概要

本年度は、主に以下の3つの項目について研究を実施した。
(1)O-GlcNAc修飾された糖タンパク質のトリプシン消化物を濃縮するために、WJAレクチンカラムによる濃縮を試みた。ここで回収されたトリプシン消化物をOrbitrap型高感度質量分析計によるLC-MS/MS解析をしたところ、数カ所のO-GlcNAc修飾を受けたアミノ酸残基を同定することができた。
(2)O-GlcNAc修飾を特定した配列に対して、さまざまなAla置換変異体のcDNAを作製、発現プラスミドに組み込んで細胞内に発現させた。タグによりO-GlcNAc修飾タンパク質をプルダウンし、O-GlcNAc修飾量の変化を調べることにより、どのアミノ酸残基への修飾が生物活性と相関するかを比較検討した。この中で最も相関のあった修飾残基に関して、その前後の配列を含むO-GlcNAc修飾ペプチドを化学合成した。この糖ペプチドを用いてウサギに免疫をして抗体の作成を行った。さらに、糖修飾のない単純ペプチドに結合せず、O-GlcNAc修飾ペプチドのみに特異的に結合する抗体を得た。この抗体は特定の残基のO-GlcNAc修飾を特異的に認識すると共に、O-GlcNAc修飾されたタンパク質がきれいに核内のみに局在していることが示された。
(3)同定したO-GlcNAc修飾タンパク質と相互作用する分子を特定するために、WJA-BirA(R118G)の発現を行った。しかし組換体WJAレクチンの活性が認められなかったために、同じ特異性を持つWFA-BirA(R118G)を作出する方針に変更した。後者に関して4種類のコンストラクトを作製したが、いずれもレクチンならびにBirAとしての活性を確認することができた。これらを用いて、現在、相互作用している他のタンパク質の同定を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画の(1)と(2)に関しては、計画通りに順調に進行し、大変興味深い結果が得られた。もう一つの懸案であったビオチンリガーゼ融合タンパク質の作製に手間取ったが、さまざまな試行錯誤をして解決することができた。最終年度ではこれらを駆使して機能解析にまで踏み込んでゆけると考える。

今後の研究の推進方策

本年度は、昨年度の結果を踏まえて、以下の2つの項目について研究を実施する。
(1) 取得したしたO-GlcNAc修飾ペプチドに対する抗体を用いて内在性リガンドのプルダウンを行い、O-GlcNAc修飾タンパク質と特異的に相互作用するタンパク質が共沈降してこないかを調べる。さらに共沈降するタンパク質の同定を行うことにより、O-GlcNAc修飾の意義を明らかにする。(2) 前者のO-GlcNAc修飾ペプチド特異的抗体にBirA(R118G)をカップリングしたプローブを作製し、これを用いてO-GlcNAc修飾タンパク質と特異的に相互作用するタンパク質を網羅的にビオチン化する手法も平行して進める。最終的に、O-GlcNAc修飾による機能制御を明らかにすることを通して、他の系にも普遍的に用いることが可能な解析法のプラットホームを確立する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 膵管腺癌の3次元培養下における表現型に関わるO-GlcNAc修飾の機能解析2018

    • 著者名/発表者名
      粂優彦、山口高志、池原譲、山本一夫
    • 学会等名
      第49回日本膵臓学会大会
  • [学会発表] 膵管腺癌の3次元培養下における表現型に関わるO-GlcNAc修飾の機能解析2018

    • 著者名/発表者名
      粂優彦、山口高志、池原譲、山本一夫
    • 学会等名
      第37回日本糖質学会年会
  • [学会発表] 糖鎖機能を標的とする創薬デザイン-鳥インフルエンザ感染とがん2018

    • 著者名/発表者名
      山本一夫
    • 学会等名
      第10回プラズマ医療・健康産業シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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