電荷密度解析は電子構造を実験的に決定する手法であり、分子の物性を直接議論することが可能である。本研究では、結合次数や結合エネルギー、非共有結合性の相互作用などを定量的に決定することができた。得られた結果は量子化学計算との比較が可能な精度であるため、理論と実験の相補的な発展を促すものである。一方、タンパク質の構造情報は薬剤開発においても広く利用されている。タンパク質や薬剤候補分子の電荷や価電子の分布は作用機序に深く関与しているが、通常の構造解析からは決定できない。電荷密度解析の汎用化は相互作用予測や評価精度の向上と効率化にもつながるため、将来的には創薬にも応用できると考えられる。
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