研究実績の概要 |
小胞体で合成された分泌タンパク質は、小胞体上の特別なドメインであるER exit siteからCOPII被覆小胞に積み込まれ小胞体から出芽し分泌される。一方でコラーゲンをはじめとした分子は小胞体内でCOPII被覆小胞に比べ巨大な複合体を形成するため、通常の小胞には入りきらない。よってコラーゲンの分泌には、特殊な機構が必要である。 研究代表者は、これまで、コラーゲンの積荷受容体としてcTAGE5/TANGO1L/Sec12複合体,およびcTAGE5/TANGO1S/Sec12複合体を見出し、両者が低分子量Gタンパク質Sar1を活性化することで、協調してコラーゲンの分泌を担うことを明らかにしてきた(Cell, 2009; MBC, 2011;JCB 2014;MBC 2016a;MBC2016b)。 さらに最近、TANGO1LおよびTANGO1Sのそれぞれに、ER exit site形成の初期にはたらく因子であるSec16が直接的に結合することを明らかにし、TANGO1がSec16と協調して足場タンパク質としてはたらくことで、ER exit siteの形成にも関与することを提示してきた(JCB, 2017; Front Cell Dev Biol, 2017)。 本年度は、TANGO1複合体がリン酸化修飾されることを見出し、リン酸化修飾によってER exit siteの形成能が変化する可能性を明らかにした。
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