研究実績の概要 |
昨年度は胃プロトンポンプ初となる原子分解能の構造解析を達成し、どのようにしてH+が強酸性である胃に押し出されるのかが分子レベルで理解できた(Abe et al., 2018, Nature)。しかしながら、得られた構造は輸送反応サイクルの一状態であり、ダイ ナミックに変化するこのポンプの作動機構解明には、少なくとも複数個の別な反応中間体の構造解析が必要である。 本年度は、対向輸送イオンであるK+の結合構造の解析に注力した。この為に最適な基質及びアナログの検討によって、AlF, MgFと、K+, Rb+の組み合わせ条件下で結晶が得られ、幾つかの構造が分解能2.5A程度で決定できた。胃プロトンポンプがどのようにK+を特異的 に認識しているか、またK+の結合によってどのような構造変化が誘起されるかを理解するために、変異体による機能解析を進めている。
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