高時間分解能一分子計測によるキネシンの化学力学共役機構の解明

2020 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 17H03661
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 生物物理学
• 研究機関: 青山学院大学
• 研究代表者: 富重 道雄 青山学院大学, 理工学部, 教授 (50361530)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 分子モーター / 生物物理 / 一分子計測（SMD） / ナノマシン / 細胞内輸送

研究成果の概要

分子モーターキネシンはATP加水分解のエネルギーを利用して２つの頭部を交互に動かしながら運動するが、頭部間の協調性の仕組みやエネルギー変換の仕組みはまだ明らかになっていない。我々は、高時間かつ高空間分解能の一分子計測法を用いることによって、キネシンの後ろ頭部が前頭部よりも先に解離する仕組みや浮いた頭部が選択的に前方の結合部位に結合する仕組みを明らかにした。また負荷を受けながら運動中のキネシンの観察を行うことにより、外力により運動速度が低下する仕組みの一端を明らかにした。

自由記述の分野

生物物理

研究成果の学術的意義や社会的意義

タンパク質は多様な細胞内活動に関わっているが、その多くは複数のサブユニットを協調させることで仕事の効率を上げている。本研究の成果は、キネシンのサブユニット間の協調性の仕組みを構造や反応速度論の観点から明らかにするものであり、アロステリックな分子内協調の普遍的な仕組みへの示唆を与えるとともに、効率的な人工分子機械の設計指針を与えるものである。