7回膜貫通ヘリックス構造を有する膜蛋白質に対し,立体構造なる微視的幾何学情報から熱安定性を評価できる統計力学理論を構築した。膜を構成する炭化水素基集団の並進配置エントロピーの効果を取り込んだ点に独創性がある。G蛋白質共役型受容体(GPCR)に対し,BW数が3.39の残基をリジンまたはアルギニンに置換すると,クラスAの数多くの異なる不活性型GPCRを耐熱化できることを発見し,そのうちの幾つかに対して立体構造の新たな決定に成功した。ロドプシンであるTRとXRあるいはRxRとHsBRは,高いアミノ酸配列相同性にも拘わらず,顕著に異なる熱安定性を呈する。これらの実験事実は上記理論を用いて説明できた。
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