研究課題
細胞膜の微小ドメイン構造(ラフト)は、膜タンパク質の機能調節に重要な役割を果たすと考えられている。研究代表者は、ラフト領域と非ラフト領域が明確に分かれているパターン化人工膜を用いて、膜タンパク質のラフト親和性を定量する手法を開発した。本研究は、細胞膜小胞(blebs)を直接人工膜に導入することで、大量発現・精製が難しい哺乳類膜タンパク質のラフト親和性を定量する技術を開発することを目的とする。2019年度には、①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製、②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成、に関する技術開発を行った。① 人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製:光重合性リン脂質を光リソグラフィー技術でUV重合することでポリマー脂質膜を作製した。ナノ空間は、高密度な親水性高分子鎖(高分子ブラシ)を被覆したシリカ微粒子を用いて人工膜とPDMSを結合することで作製した。粒径100 nmのナノ粒子を、厚さの制御された接着層として用いることで、流動性脂質膜部位の膜とPDMSの間に同程度の厚さを持つナノ空間が形成され、膜タンパク質を導入して1分子蛍光観察することに成功した。② パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成:細胞由来の膜小胞(blebs)を用いて、哺乳類細胞の膜タンパク質を人工膜に直接導入する技術を開発した。精神疾患に関わる重要なGPCRであるドーパミン受容体(DRD2)をCHO細胞に発現し薬剤処理で膜小胞を形成した。膜小胞を平面膜化してDRD2が区画内で側方拡散していること、またPDMSとの境界領域において区画内に多量のD2R分子がが導入され2次元拡散していることを確認した。さらに、D2Rの配向性、受容体としての機能を検討することで、膜小胞を用いたナノ空間への膜タンパク質再構成、機能解析技術を確立することができると期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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