研究課題/領域番号 |
17H03669
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐藤 健 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30311343)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 低分子量GTPase / Rab / メンブレントラフィック |
研究実績の概要 |
本年度は、低分子量GTPase Rab11の新規GDP/GTP交換因子 (GEF) 候補であるSH3BP5及びSH3BP5Lについて解析を行った。まずこれらのタンパク質を精製し、ヒトにおいて3種類存在するRab11のアイソフォーム(Rab11a、Rab11b、Rab25)に対するGEF活性を測定した。その結果、SH3BP5及びSH3BP5Lともにこれらすべてに対して強いGEF活性を示すことが明らかとなった。次に、SH3BP5/SH3BP5Lの細胞内局在性について、GFP融合タンパク質を発現させたHela細胞を用いて解析した。これらの細胞にトランスフェリンを取り込ませたところ、SH3BP5/SH3BP5Lとの部分的な共局在が認められた。また、SH3BP5/SH3BP5LはリサイクリングエンドソームマーカーであるRab11とも共局在を示したことから、これらは主にリサイクリングエンドソームに局在することが明らかとなった。現在、SH3BP5及びSH3BP5Lの欠損細胞を作製し、その表現型について詳細に解析している。さらに、東京大学との共同研究により、SH3BP5単体及びRab11との複合体の結晶構造解析を進めており、大まかな3次構造が明らかになりつつある。一方、線虫のRAB-11 GEFであるREI-1の上流因子を探索するため、酵母ツーハイブリッド法による結合因子の同定を試みた。その結果、別の低分子量GTPaseの1つがGTP型の際にREI-1と相互作用することが判明した。現在、この低分子量GTPaseがREI-1やSH3BP5の上流因子として機能するのかについて検討を進めている。一方、同じくリサイクリングエンドソームで働く低分子量GTPaseであるRab35についてはノックアウトマウスの作製に成功しており、現在個体レベルの表現型について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低分子量GTPase Rab11のGDP/GTP交換因子であるREI-1の哺乳類ホモログSH3BP5およびSH3BP5Lの細胞内局在性の決定、各種Rab11 isoformに対するGEF活性の測定が完了している。また、これらを欠損した細胞株も獲得しており、現在詳細に解析中である。さらに、東京大学の研究グループとの共同研究によりSH3BP5の結晶構造解析を進めており、おおまかな構造が明らかになりつつある。以上のことより、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はSH3BP5およびSH3BP5Lの生理機能の解明を進めるとともに、これらの因子がどのようにしてRab11上のGDPをGTPに変換するのか、分子レベルで明らかにしたい。また、SH3BPの活性を制御する上流因子の同定も試みる。一方、リサイクリングエンドソームで働く別の低分子量GTPaseであるRab4についてもGDP/GTP交換因子の同定を試み、その活性制御メカニズムの解明を試みる。さらに、Rab35に関してはノックアウトマウスの作製、解析を通じて哺乳類個体における生理機能を明らかにする予定である。
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