研究課題
オートファジー始動複合体であるULK1/Atg1複合体の形成、局在化、相互作用について、哺乳類細胞および出芽酵母を用いて解析を行った。昨年度までに、哺乳類ULK1複合体と出芽酵母Atg1複合体の局在化メカニズムが異なるように見える原因が、哺乳類特異的な5種類の選択的分解基質にあることを見出していたため、これら5因子のPenta KO細胞に1因子ずつを戻すことで次の知見を得た。(1) ULK1複合体はATG9非依存的に局在化する。(2) ATG9ベシクルの局在化にはULK1複合体に依存した経路と、選択的分解基質に依存した経路の2つがある。後者は出芽酵母では見られない新規経路である。(3) ULK1複合体に依存した経路はATG13のHORMAドメインとATG9ベシクルの相互作用による。(4) ATG9ベシクルの局在化には5因子のうちTAX1BP1、OPTN、NBR1が関与する。これらの新しい知見については現在論文執筆中である。また一方で、ULK1複合体自身の形成メカニズムについても解析を進めており、構成因子であるFIP200およびATG13に依存した相分離によって液滴を形成する可能性が強く示唆された。近年の報告から、選択的分解基質もp62を中心とした液滴を形成することが分かっている。我々は、オートファジー始動のステップでは選択的分解基質の液滴とULK1複合体の液滴が相互作用し、さらに選択的分解基質の液滴がULK1複合体の液滴形成を更新する可能性を見出しており、これはオートファジー始動の分子メカニズムを明らかにする上で大きな発見と言える。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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