研究課題
当研究室では、カタユウレイボヤを用いたポジショナルクローニング、卵黄膜プロテオーム解析、ゲノム編集による機能解析を行い、精子側因子s-Themis-A, s-Themis-B, s-Themis-B2および卵側因子v-Themis-A, v-Themis-B, v-Themis-B2が自己非自己細胞認識に関わることを明らかにしている。しかし、s-Themisとv-Themisのタンパク質レベルの相互作用は確認されていない。そこで今回、糖鎖修飾等が可能な昆虫細胞S2での発現系を用い、s-Themis-Bとv-Themis-Bの発現系構築とタンパク質間相互作用に関する検討を行った。まず、v-Themis-Bとs-Themis-BのcDNAクローニングを行った。アレルは082、JGIの2つを用いた。v-Themis-Bに関してはN末側のシグナル配列を除いた全長とC末端にGFP tagを付けたもの、またs-Themis-Bに関しては、シグナル配列の直後から、超可変領域の後まで(Δ1)、REJドメインの後まで(Δ2)、細胞外領域まで(Δ3)という3種類のコンストラクトを作製した。各コンストラクトのN末端には分泌シグナルBiPを、C末側にはV5 tagを付加した。これらをS2細胞に遺伝子導入し、培養上清を回収して、抗V5抗体を用いたウエスタンブロット解析により発現と相互作用解析を行った。本実験により、s/v-ThemisのS2細胞での発現に初めて成功したが、タンパク質間相互作用を解析するには量的に不十分であったので、2019年度は大量発現させる条件を検討する。また、s/v-Themis-Bのみならず、s/v-Themis-B2やs/v-Themis-Aに関してもハプロタイプ特異的相互作用を解析する予定である。
2: おおむね順調に進展している
今まで、昆虫細胞S2での発現に関しては成功していなかったが、今回条件を検討し、培養液中に分泌されるタンパク質を確認することができた。しかし、タンパク質間相互作用を解析するには量的に不十分なので今後は大量発現条件を確立することが課題である。しかし、総合的にみて順調に進んでいると判断した。
今後は、s/v-Themis-BをS2細胞で大量発現させる条件を検討する。また、s/v-Themis-Bのみならず、s/v-Themis-B2やs/v-Themis-Aに関してもハプロタイプ特異的相互作用を解析する。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)
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