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2019 年度 実績報告書

細胞認識を起点としたSurveillanceシステムの遺伝的基盤

研究課題

研究課題/領域番号 17H03673
研究機関名古屋大学

研究代表者

大澤 志津江  名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80515065)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード創傷治癒 / Slit-Robo / 死細胞の排除 / 分泌性の増殖因子 / ショウジョウバエ
研究実績の概要

多細胞生物体において、異常な細胞を認識して積極的に組織から排除するsurveillanceシステムが、器官形成や恒常性維持に重要な役割を果たすと考えられているが、その分子機構や生理機能についてはいまだ不明な点が多い。我々のグループはこれまで、上皮に生じたがん原性の極性崩壊細胞を組織から排除する分子機構について、ショウジョウバエをモデル系として解析してきた。その過程で、神経細胞の軸索ガイダンスに関わるリガンドー受容体システムSas-PTP10Dが上皮に生じた極性崩壊細胞の認識する上で、Slit-Roboが極性崩壊細胞を組織から排出(extrusion)する上で機能していることを明らかにしてきた。そこで本研究では、Sas-PTP10DおよびSlit-Roboシステムに着目し、「細胞認識を起点としたSurveillanceシステム」が機能する組織・時期を探索した。その結果、翅成虫原基(将来、翅のブレード領域を形成する幼虫期の組織)に導入された物理的損傷が修復される過程において、Sas-PTP10DおよびSlit-Roboシステムがいずれも重要な役割を果たしていることが分かった。興味深いことに、創傷付近においてSlitの発現がJNKシグナルに依存して上昇している様子が観察された。また、Slit-Roboシステムを遺伝学的に破綻させると、創傷治癒の間で生じた死細胞が組織から排出されずに成虫原基にとどまること、および、この排出されずに組織中にとどまった死細胞が分泌性の増殖因子Dpp(BMPホモログ)やWingless(Wg; Wntホモログ)を過剰に産生し、損傷修復を著しく阻害することが分かった。これらの結果から、Slit-Roboシステムが、死にゆく細胞を速やかに組織から排除し、それにより、死にゆく細胞から分泌される細胞増殖因子の量を適正に制御して組織修復に貢献していることが明らかとなった(Iida, Ohsawa et al., Sci. Rep., 2019)。

現在までの達成度 (段落)

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)

  • [国際共同研究] CSIC- UAM(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      CSIC- UAM
  • [雑誌論文] JNK-mediated Slit-Robo signaling facilitates epithelial wound repair by extruding dying cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Iida C, Ohsawa S, Taniguchi K, Yamamoto M, Morata G, Igaki T
    • 雑誌名

      Sci., Rep.

      巻: 9 ページ: 19549

    • DOI

      10.1038/s41598-019-56137-z.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Elimination of oncogenic cells that regulate epithelial homeostasis in Drosophila2019

    • 著者名/発表者名
      Ohsawa S
    • 雑誌名

      Dev. Growth. Differ.

      巻: 61 ページ: 337-342

    • DOI

      10.1111/dgd.12604

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞ターンオーバーを介した発生ロバストネスの遺伝的基盤2019

    • 著者名/発表者名
      大澤志津江
    • 学会等名
      第19回 日本タンパク質科学学会年会 第71回 日本細胞生物学会大会 合同大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 折り畳まれた上皮組織から3D形態へと変形を開始するメカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      大澤志津江
    • 学会等名
      第1回日本メカノバイオロジー研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Elimination of oncogenic cells through tumor-suppressive cell competition in Drosophila2019

    • 著者名/発表者名
      大澤志津江
    • 学会等名
      第78回日本癌学会学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 3D morphogenesis of adult appendages from the Folded Epithelial Sheets in Drosophila2019

    • 著者名/発表者名
      大澤志津江
    • 学会等名
      The 2nd NIBB-Princeton Joint Symposium ”Imaging and Quantitative Biology”
    • 招待講演
  • [学会発表] ショウジョウバエ成虫原基から外部形態への変形を制御するメカニズムの解明2019

    • 著者名/発表者名
      野崎勝也、柳田晃佑、中山萌美、前川絵美、井垣達吏、大澤志津江
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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