研究実績の概要 |
ミトコンドリアは多彩な細胞機能を担っており,その活性は細胞により様々な調節を受けている。特に,障害を受け膜電位が低下したミトコンドリアのオートファジーによる排斥は,ミトコンドリア品質管理として,近年,その詳細な分子メカニズムが明らかになってきた。私達は,PINK1とParkinにより制御されるミトコンドリアの品質管理が,cAMP/PKA経路を介したMIC60/19のリン酸化修飾により調節されていることを明らかにした。しかし,ミトコンドリアでのリン酸化による調節機構には,まだ不明な点が多く残されている。本研究では,MIC60, MIC19, SAM50そしてDNAJC11のリン酸化修飾に着目して,そのリン酸化を介したミトコンドリア機能の調節機構の分子メカニズムを明らかにする事を目指している。 平成29年度は,次の3点について研究を進めた。 1.MIC60相互作用因子SLC25A46の発現抑制で,Parkinのミトコンドリア標的化に阻害効果が観察された。今後は,SLC25A46のPINK1機能への役割の解析を進める。 2.Hexokinaseの発現抑制により, Parkinのミトコンドリア標的化は顕著に阻害され,Hexokinaseの異所発現により回復した。繰り返し構造で2つの活性部位を持つHexokinaseのうち,活性部位を1つだけ持つユニットでもParkinの標的化阻害を回復できることから,Hexokinase全構造は必要ないことが明らかとなった。 3.DNAJC11の推定リン酸化部位に特異的な抗体を作成したが,forskolin処理による優位な変化は検出できなかった。今後は,内在性DNAJC11の免疫沈降産物でのリン酸化修飾の検出を試みる。
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