本研究の目的は、脂質メディエーターであるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)の形態形成における生理機能を明らかにすることである。ゲノム編集技術を用い網羅的なS1PRの機能欠損ゼブラフィッシュ変異体を作製し、それらの表現型解析を行った。全てのS1PRを破壊した7S1PR変異体は胚性致死の表現型を示した。7S1PR変異体はS1PR2変異体で観察される二叉心臓に加えて、赤血球や血管細胞の形成不全といった造血・血管発生異常を示すことが明らかとなった。これらの結果は、S1Pシグナルが心臓発生のみならず造血・血管発生に重要な役割を担っていることを示している。
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