研究課題/領域番号 |
17H03683
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡邉 正勝 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90323807)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 細胞間相互作用 / ギャップ結合 / ゼブラフィッシュ / 体表模様 |
研究実績の概要 |
ゼブラフィッシュの体表模様をターゲットとして、細胞間相互作用による形態形成(パターン形成)の分子メカニズムの解明を目指す研究を行った。特に、ギャップ結合に注目し、ゼブラフィッシュの体表模様形成に関係するギャップ結合蛋白質であるコネキシン39.4(Cx39.4)とコネキシン41.8(Cx41.8)の解析を進めた。本年度は、特にタンパク質のC末ドメインに着目し、ドメイン解析によりEGFPラベルを入れたコネキシンの作成を行った。in vivo, in vitroの解析により、Cx39.4、Cx41.8それぞれのC末ドメインは、それぞれの変異体の機能相補には必要ないことが明らかとなった。これは、コネキシンのC末ドメインが細胞膜絵のアンカリングやチャネルの開閉制御に必要であるというこれまでの知見とは異なるものであった。一方で、Cx39.4とCx41.8のゼブラフィッシュ二重変異体に対して同様の実験を行った場合、C末ドメイン欠損のCx39.4は同様に機能したのに対し、C末ドメイン欠損のCx41.8は機能しなかった。このことは、Cx39.4がCx41.8の膜移行やチャネル機能に関与していることを示唆している。in vitroでの実験でも同様の結果が得られたことから、Cx41.8のC末がコネキシンの膜移行に必要であること、Cx39.4がCx41.8の機能をアシストしていることが示された。Cx39.4は魚類特異的に存在するコネキシンであり、体組織で広く発現していることから、他のコネキシンの機能相補に重要な役割を担っているコネキシンであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
二重変異体への遺伝子導入実験では、予想外に二重変異体の成長が悪く、遺伝子導入個体の作成を再度初めから行ったために時間を要してしまった。一方で、遺伝的バックグラウンドの違いによりコネキシン変異体の機能に差がみられ、in vivoにおけるC末ドメインの機能について新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究によりギャップ結合ネットワークの検出及びCx39.4とCx41.8のC末ドメインの機能についての知見が得られている。今後の課題として、黄色素細胞から黒色素細胞への方向性を持った活性化シグナルの形成原理を生化学的に明らかにしていく。Cx41.8は単独では哺乳類培養細胞の膜局在の効率が悪く活性測定ができないが、Cx39.4との共発現によりその効率が飛躍的に上昇する。また、この現象はin vivoでも確認されており、今後、この条件での機能解析を行っていく。
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