体を構成する多様な体細胞は全て、「エピブラスト」と呼ばれる細胞集団から発生する。神経系と内胚葉組織を中心に、体細胞の発生初期過程を研究した。 前部エピブラストには、早期から領域性があり、それらが前部中内胚葉に集合して脳原基を形成するのと並行して、脳部域(前・中・後脳)も確立される。脊髄を含めた神経系全体での領域性の成立には、Wntシグナルが関わっている。次いで転写因子SOX2とZIC2が作用する過程によって神経組織が発生する。 内胚葉原基の成立には、SOX17発現エピブラスト細胞が基底膜と相互作用することが重要である。前部内胚葉の食道と気管への分離には、SOX2による気管発生の抑制が必要である。
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