研究課題
ミヤコグサの「葉」における転写産物の網羅的解析データを用いて、ゲノム上に新たに4つのmiR2111の前駆体遺伝子が存在することを見出し、計7つの前駆体遺伝子を特定した。そのうち4つの遺伝子は葉で機能するHAR1受容体キナーゼ(シロイヌナズナのCLV1オルソログ)に依存して発現のオン、オフが明確に制御されていた。先行研究では、miR2111は根で機能する根粒形成抑制因子TMLのmRNAを分解することで、根粒の数を増やす機能を持つことが示唆されている。私たちが発見した最も顕著に発現していたMIR2111-5 を過剰発現させると、miR2111量が増加しTML mRNAが減少するともに、根粒の数が顕著に増加することが示された。一方、MIR2111-5 をCRISPR/CAS9を用いて欠失させた変異体では、根におけるmiR2111の蓄積量と根粒の数が顕著に減少することがわかった。植物のシュートからはスクロースなどの物質が根に輸送されるため、そのような転流物質によりmiR2111が根で合成される可能性が残っている。そこで、葉で作られたmiR2111が根におけるmiR2111の蓄積と根粒数の増加をもたらしていることの実験的な証拠を得るために、miR2111の蓄積量を変化させた形質転換体を用いて接ぎ木試験を行った。miR2111を過剰に蓄積する形質転換体を穂木にした場合、野生型の台木ではmiR2111の蓄積量が増加し根粒の数も増加した。一方、miR2111の蓄積が抑制された形質転換体の穂木は、野生型の台木における根粒の数を減少させました。これらの結果から、葉で作られたmiR2111がシステミックに根粒の数を制御する機能を持つことが明らかとなった。以上の成果を論文として取りまとめ、2020年10月Nature Communications誌に報告した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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