研究課題
アオサ藻綱に属するショウジョウアオノリ(Ulva partita)やスジアオノリ(Ulva prolifera)は、その雌雄配偶子が同形から異形へわずかに進化した種である。ゲノム解析で明らかになった交配型(MT)領域を手がかりに、原始的な多細胞海産藻類であるアオサ・アオノリにおける性決定領域の起源と進化を明らかにする。ショウジョウアオノリの解析で、アオノリの性決定領域は組換え抑制のため進化速度が極めて速くなっていて、クラミドモナスやボルボックスの系とは異なる遺伝子群から構成されていた。唯一共通する遺伝子としてはMIDがあり、母性遺伝するオルガネラとの関係が浮上している。両者は進化的には異なる起源であろうとの推定もあるが、近縁種も含め多細胞性植物における雌雄性の決定に関わる遺伝子や雌雄の非対称性を生み出す分子機構の解明に母性遺伝との関係にも注目して、配偶子の成熟や眼点の大きさについても急いで解析することにした。ゲノム解読の結果、ショウジョウアオノリとスジアオノリには、それぞれ15,515と12,997の遺伝子が予測される。1)スジアオノリ雌雄ゲノムのMT領域:スジアオノリのゲノムサイズは雌雄ともに70Mb程度で、ショウジョウアオノリの60%程度でしかないその理由を探る。 2)ガメトログを用いたアオサ・アオノリ系統の雌雄性の起源の探索:性染色体領域には雌雄に特異的な遺伝子の他に、雌型と雄型に分化した雌雄共通のホモログ(ガメトログ)が複数ある。これらのガメトログと非組換え領域が出現する分子メカニズムを知る手がかりになる。 3)MT領域内の雌雄特異的遺伝子と雌雄の接合装置に特異的な構造の探索:アオノリでもゲノム編集による遺伝子破壊が可能となり遺伝子と構造の関係を見ることができる。免疫サブトラクション法にレクチン染色も加え、電顕3Dによるアオノリ近縁種の空間的配位も検討する。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cytologia
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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/pls/research.html