研究実績の概要 |
Arc1-13は、13アミノ酸種だけから構成されたアミノ酸組成単純化型ヌクレオシド二リン酸キナーゼの一つで、C, F, I, M, Q, T, Wを持たない。Arc1-13Mも同じく13アミノ酸種だけから構成されたアミノ酸組成単純化型改変体でC, K, M, Q, S, T, Wを持たない。本研究では、Arc1-13の91番目のアミノ酸残基をTに、131番目のアミノ酸をFに戻したArc1-13+TFと、Arc1-13Mの9番目のアミノ酸をKに、91番目のアミノ酸をTに、117番目のアミノ酸をSに戻したArc1-13M+KSTを作製した。熱変性解析とリン酸基転移活性の測定をおこなったところ、Arc1-13+TFはArc1-13と比べて変性温度が7℃回復し、Arc1-13+TFの比活性もArc1-13の13倍以上に向上することを見出した。また、Arc1-13M+KSTはArc1-13Mと比べて変性温度が5℃回復し、Arc1-13M+KSTの比活性もArc1-13Mの17倍以上に向上することも見出した。 以上の結果は、アミノ酸種類の拡大によって原始タンパク質の安定性や機能が向上し、その結果、宿主生物のフィットネスを向上させることで生物の初期進化の駆動力になった可能性を示唆するものである。 さらに、アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)ついては、IleRS、ValRS各々の共通祖先、IleRSとValRSの共通祖先のアミノ酸配列を推定した。IleRS共通祖先とValRS共通祖先のアミノアシル化活性測定では、tRNA、ATP、ピロフォスファターゼ存在下で各々アミノ酸としてIleとValを加えたときにのみ、リン酸の生成を見た。
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