研究課題/領域番号 |
17H03740
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
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研究分担者 |
齋藤 俊行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (10170515)
草野 洋介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70325637)
青柳 潔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80295071)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生理人類学 / 動脈硬化 / HTLV-1 / 慢性炎症 / 生理的多型性 |
研究実績の概要 |
2017・2018年度の研究活動によって、長崎県五島市に本研究課題「HTLV-1による慢性炎症修飾の関連解明を目指したコホート研究」に関する研究フィールドを構築した。2018年度に引き続き五島市が実施する一般住民健診と連携しながらサンプルとデータの収集を行った。2019年度は、主に岐宿地区、富江地区、三井楽地区、久賀地区で調査・研究活動を実施し、合計1,142例(男性461例、女性681例)の地域住民から研究協力の同意を得た上で、生活習慣等の環境因子情報、基本的身体測定データ、動脈硬化関連データ(頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)、心臓足首血管指数(CAVI)、AI値(Augumentation Index)、中心動脈圧)、リウマチ・膠原病関連データ、歯科検診データ、骨密度データ、フレイルに関連するデータ等と血液サンプルを取得した。収集したデータと血液サンプルは、それぞれ専用のデータベースとディープフリーザーに登録・保存した。CLEIA法にてスクリーニングした結果、HTLV-1陽性者は1,142例中、170例(14.9%)であった。 また、研究補助員(調査員)が五島市の医療施設を訪問し、研究協力に同意を得た住民を対象として慢性炎症性疾患等の発症に関する追跡調査を実施している。 収集したデータを使ってperiodontitisとHTLV-1との関連を解析した結果、造血能の低い高齢者グループではHTLV-1とperiodontitisとの間に有意な正の関連を認め、さらに、動脈硬化を有する高齢者グループではHTLV-1とperiodontitisとの間に有意な正の関連を認め、論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、HTLV-1によってもたらされる慢性炎症の修飾に関するコホート研究であり、コホート全域(五島市全域)のHTLV-1感染実態を明らかにするとともに、複数の慢性炎症性疾患(動脈硬化、関節リウマチ、歯周疾患など)をターゲットとしてHTLV-1との関連解明を目指している。2017年度と2018年度に登録された、それぞれ1,724人・534人に加えて、2019年度には1,142人のデータとサンプルを収集することができ、データベースへの登録とサンプルの凍結保存は順調に進んでいる。データ・サンプルの収集と並行して登録者の追跡調査を行っているが、2018年度からはHTLV-1との関連が注目されているぶどう膜炎を調査対象に加えた。2017年度にHTLV-1と動脈硬化との有意な関係を明らかにしたが、2019年度にはHTLV-1と歯周疾患との間に有意な関係を証明した他、関連する研究解析を含めて2019年度には11本の論文発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、五島市の一般住民健診と連携しており、3~4年で五島市全域をカバーする予定である。2020年度は、引き続きサンプルとデータを収集するとともに、抗HTLV-1抗体、抗CCP抗体、高感度CRP等を測定する。また、DNAを抽出し、遺伝子要因(遺伝子多型)の解析を進める。同時に、収集したデータの解析を進め、HTLV-1と慢性炎症(慢性炎症関連の病態を含む)との関連を明らかにする。
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備考 |
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防共同専攻地域医療学分野のホームページ上で、倫理審査結果を含めて研究内容・業績について公開している。
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