• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

イネ初期胚の母性RNA分解機構の理解と種子への物質集積制御

研究課題

研究課題/領域番号 17H03751
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

佐藤 豊  国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (40345872)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードイネ / 初期胚 / 母性RNA
研究実績の概要

本課題代表者はこれまでイネの初期胚形成機構の解析を行ってきた。最近この過程で、「初期胚ではRNAが極めて不安定化する現象」を発見した。動物の初期胚では母性RNAの分解とそれに続く胚性遺伝子の活性化機構に関する解析が進んでいるが、植物では現象そのものの記述もほとんどなく未開拓の分野である。本申請研究では、植物において初めてとなる母性RNAの分解機構を明らかにし、その植物初期発生における意義を明らかにする。さらに、種子中の胚に蓄積する有用成分等の含量制御へ、母性RNAの分解制御と胚性遺伝子の活性化機構の利用を検討することにより、植物遺伝育種科学分野への貢献を目指す。平成29年度は、イネ初期胚で発現することが予想される複数の遺伝子について、0DAP, 1DAP, 2DAPでの発現解析を行った。その結果、初期胚での発現が検出できるプローブとそうでないプローブが存在することが判明した。このことから、イネ初期胚においては、選択的に一部のRNAは分解されていることが予想された。また、LMD法ならびに、マイクロピペットを用いた方法により、0DAP, 1DAP, 2DAPの胚サンプリングの条件検討を行った。その結果、LMD法では、2DAP以降で微量のRNAが回収できることが判明した。一方、0DAP, 1DAPでは、LMD法でのRNA抽出は無可能との結論に至った。マイクロピペットによる0DAPの回収については、実績のある研究者から方法を伝授してもらい、ある程度サンプリングができる体制が整った。1DAPについては、引き続き工夫が必要な状況にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

サンプリングの条件検討を夏季以降、継続的に行う予定であったが、平成29年8月、イネ育成に使用していた人工気象室に不測の故障が生じたため、当装置の修理・調整が必要となり、イネ育成再開までに6ヶ月間を要した。このため、繰越により当初計画を変更し、平成30年度に予定の実験を終了した。

今後の研究の推進方策

1DAP胚からのRNA回収の条件を早期に確定し、イネ初期胚でのRNAの消長を明らかにする。

備考

佐藤 豊:植物の形作りと作物育種、国立遺伝学研究所公開講演会、一橋講堂、2017年(招待講演)

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] LEAF LATERAL SYMMETRY1, a Member of the WUSCHEL-RELATED HOMEOBOX3 Gene Family, Regulates Lateral Organ Development Differentially from Other Paralogs, NARROW LEAF2 and NARROW LEAF3 in Rice2018

    • 著者名/発表者名
      Honda Eriko、Yew Chow-Lih、Yoshikawa Takanori、Sato Yutaka、Hibara Ken-ichiro、Itoh Jun-Ichi
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 59 ページ: 376~391

    • DOI

      10.1093/pcp/pcx196

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 野生イネ集団(Oryza rufipogon)を用いた種子形質制御因子のGWAS 解析2018

    • 著者名/発表者名
      Nhung Ta、佐藤(志水)佐江、高橋(野坂)実鈴、鈴木俊哉、佐藤豊
    • 学会等名
      日本育種学会第133回講演会
  • [学会発表] SHOOTLESS/SHOOT ORGANIZATION経路の下流で機能するイネ幹細胞形成因子の探索2018

    • 著者名/発表者名
      高橋(野坂)実鈴、鈴木俊哉、佐藤(志水)佐江、Nhung Ta、髙橋宏和、鈴木孝征、豊田敦、中園幹生、佐藤豊
    • 学会等名
      日本育種学会第133回講演会
  • [学会発表] Damage-associated Plant Elicitor Peptides promote both plant growth and stress responses in rice2018

    • 著者名/発表者名
      Masako Fuji, Rena Tani, Shigetaka Yasuda, Yoshihiro Kobae, Takuma Ishizaki, Yasunari Fujita, Yutaka Sato, Yusuke Saijo
    • 学会等名
      第59回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] イネ胚の極性を作り出すシグナル伝達2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤豊
    • 学会等名
      第38回種子生理生化学研究会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] イネの葉における撥水性の制御機構と多様性の解析2017

    • 著者名/発表者名
      平岩飛鳥、相賀彩織、佐藤豊、伊藤純一
    • 学会等名
      日本育種学会第132回講演会
  • [学会発表] イネの花器官サイズ変異体miniature floral organsの原因遺伝子の同定2017

    • 著者名/発表者名
      吉田均、Fabien Lombardo、秋山高、佐藤豊
    • 学会等名
      日本育種学会第132回講演会
  • [学会発表] イネの側根による通気組織形成の制御機構の解明2017

    • 著者名/発表者名
      清水春衣、Fangping Gong、高橋宏和、志水(佐藤)佐江、佐藤豊、中園幹生
    • 学会等名
      日本育種学会第132回講演会
  • [図書] Rice Genomics, Genetics and Breeding2018

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Sato, Misuzu Nosaka-Takahashi, Toshiya Suzuki, Sae Shimizu-Sato
    • 総ページ数
      558
    • 出版者
      Springer

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi