研究課題/領域番号 |
17H03755
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
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研究分担者 |
田中 佑 京都大学, 農学研究科, 助教 (50634474)
中野 聡史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (80414621)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ダイズ / 群落光合成 / 群落表面温度 / 蒸散速度 / 光合成誘導反応 |
研究実績の概要 |
平成29年度は京都大学大学院農学研究科附属京都農場においてメインの研究を行った.群落表面温度計測の際の計測機器の計測値の揺らぎを安定化させるために白フェルト張りの温度標準版を設置した.これにより群落抵抗を安定的に計測することができた.非定常下の光合成速度については,複数の系統について光合成誘導反応に対する評価を行い,反応の早い系統と遅い系統を見出すことができた.しかしながら圃場においては,短期的な環境変動に多雨する影響よりも,午前や午後などの日変化に対する反応の方が大きく,継続的な計測が必要であると考えられた.茎熱センサーを用いた個体あたり蒸散速度の計測を子実肥大期を中心に行った.キャノピーアナライザーを用いた葉群の垂直分布動態評価法については,専攻するイネの研究をまとめ学術誌に投稿することができた.その方法を応用し,ダイズ群落においても適用を開始した. これまでの成果を基に,群落表面温度計測による群落抵抗の常時評価システムの簡易版を開発し,東北大学大学院農学研究科附属青葉山農場および農研機構北海道農業研究センター内圃場に設置した.この方法は群落抵抗の算出に空気力学的抵抗の推定が必要であり,一般的に風速の関数とした推定法が用いられるが,風速計が効果であるうえ,弱風下では抵抗値が著しく増大するという欠点を補うために開発した方法である.この方法では無風時の群落抵抗を葉面積指数と草高の関数とし,風速が得られる場合はさらに補正を行うが,3m/s程度までは無補正でも蒸散速度に与える影響は小さいという成果に基づいている.一次解析を行ったデータでは,群落抵抗値が実用可能な精度で評価できていると考えられた.今後はそのデータ解析を進め,環境や栽培要因による影響や,地点間差などの解析を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初から予定していた京都大学農学研究科附属京都農場での実験だけでなく,東北大学大学院農学研究科附属青葉山農場および農研機構北海道農業研究センター内圃場に群落表面温度計測による群落抵抗の常時評価システムの簡易版を導入し,実験を始めることができたことが,一番の要因である.またその他の評価項目についても順調に計測が進み,今後の解析が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は京都大学農学研究科附属京都農場,東北大学大学院農学研究科附属青葉山農場および農研機構北海道農業研究センター内圃場における研究を継続する.中心となるのは群落表面温度計測による群落抵抗動態評価システムであり,これによる計測と解析を進めていく.また同時に,そのデータを基に群落光合成まで推定するために,非定常状態における光合成の変化のモデル化を推し進め,さらに葉群の垂直分布動態評価を行う.また茎熱収支法による個体あたりの蒸散速度計測も継続し,検証のためのデータセットとする. 以上の計測・解析結果を順次取りまとめ,学会発表や学術誌への投稿を行う.
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