研究課題
植物免疫においてMAPKカスケードは重要な役割を担っており、ベンサミアナタバコでは、病害応答性MAPKとしてSIPKとWIPKが同定されている。ベンサミアナタバコのSIPK/WIPKのリン酸化基質として、WRKY型転写因子であるWRKY8を同定した。WRKY8のN末端領域には、リン酸化の標的となる集積したSP配列 (SPクラスター) が存在する。本研究課題では、時空間的に細胞・組織レベルでMAPK活性動向をモニターするバイオセンサーを開発し、実際に病原菌が感染した細胞およびその周辺細胞による集団協調的な生体防御機構の実態を理解することを目的とした。本MAPKバイオセンサーは、NbWRKY8由来のDドメインとSPクラスター、ヒト由来のリン酸化セリン認識ドメイン (Pin1 WW)、そしてYFPとCFPを両端に連結した構造である。SPクラスターがMAPKにリン酸化されると、蛍光共鳴エネルギー移動 (Fluorescence Resonance Energy Transfer : FRET) が起こり、MAPK活性が蛍光シグナルとして観察できるようになる。本バイオセンサーを一過的に導入したベンサミアナタバコ葉に、感染できるジャガイモ疫病菌を接種すると、侵入して伸長した菌糸の周辺で弱いFRET蛍光が観察された。これに対し、ジャガイモ疫病菌に対する抵抗性遺伝子であるRpi-blb2を導入したベンサミアナタバコ葉に、Avrblb2を持つ疫病菌を接種すると、侵入細胞と近接細胞において強いRET蛍光が観察され、細胞死が誘導された。さらに、シロイヌナズナに本バイオセンサーを導入し、アブラナ科炭疽病菌を接種した結果、感染細胞でFRET蛍光が観察された。これらの結果は、本バイオセンサーを用いることによって時空間的にMAPK活性を観察することが可能であることを示している。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Plant Pathology
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植物防疫
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http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/%7ebio4283/index.html