研究課題/領域番号 |
17H03775
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研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
後藤 哲雄 流通経済大学, 経済学部, 教授 (60178449)
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研究分担者 |
粥川 琢巳 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (70580463)
坂本 洋典 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (70573624)
北嶋 康樹 茨城大学, 農学部, 准教授 (00431651)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ダニ・線虫管理 / 系統関係 / ゲノム |
研究実績の概要 |
ハダニ類4属22種23系統(ナミハダニ属10種11系統、マルハダニ属4種、ツメハダニ属5種、マタハダニ属1種、アケハダニ属2種)について、実験計画の「3. 有効な簡易識別用プライマーの設計およびPCRの高速化」に取り組んだ。平成29年度に実施した解析により、全RNA-Seqデータから網羅的に探索した種特異的プライマー候補配列を1種につき15-3,100本得た。平成30年度は、これらの候補配列から設計したプライマーを用いてPCRを行い、種特異的な増幅が確認できるかどうかを検討した。具体的には、(1)プライマー候補配列が含まれる遺伝子配列をアライメントして、種特異的プライマーと対になるプライマー配列を設計した。次年度以降は、これらのプライマーを用いたマルチプレックスPCRを検討するため、PCR増幅産物の長さが種ごとに異なるプライマーセット設計した。(2)(1)で設計したプライマーセットを用いて、解析対象となるハダニ22種23系統をテンプレートとしたPCRを行った。(3)PCR増幅産物を電気泳動で分析し、増幅されるはずの種のみで、想定される断片長のバンドが得られることを確認した。確認できた場合、PCRに用いたプライマーセットを種特異的プライマーとした。(4)想定される増幅断片長のバンドが得られなかった場合、あるいは、複数の系統でバンドが得られた場合、PCRに用いたプライマーセットは種特異的プライマーとして使用できないものと判定した。種特異的プライマーが得られるまで(1)~(4)を繰り返した。その結果、解析対象とした4属22種23系統すべてについて、種特異的プライマーを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA-Seqデータから得られた種特異的プライマー候補配列の有効性を、識別対象としているハダニのDNAをテンプレートとしたPCRにより確認できた。次年度は、これらのプライマーを用いたマルチプレックスPCRを検討できるため、当初予定通り順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、平成30年度に得られた種特異的プライマーセットを用いて、マルチプレックスPCR法を確立する。すなわち、複数のプライマーセットを混合した場合のPCRにおいて、単体のプライマーを用いる場合と同様に種特異的なバンドが得られること、および、非特異的なバンドが得られないことを目標とする。反応時間や温度などの条件を検討する他、マルチプレックスPCR専用の酵素(例えば、TaKaRaのMultiplex PCR Kit)の利用を試みる。マルチプレックスがうまくいかない場合は、プライマーの再設計を行い、新たなプライマーを設計し直す。 第二に、ここまでに解析対象としていた22種23系統に加え、新たに13種14系統について、プライマー設計を行う。新たに加える種のうち4種は、RNA-Seqのデータがないため、個体群の採集とRNA-Seqを行う。種特異的プライマー候補の選定は、RNA-Seqデータの網羅的解析により実施するが、これまでにプライマーを設計し終えた種とともに解析し、他種のデータに相同性の高い配列がないことを確認しながら進める。プライマー設計、およびPCRによる増幅確認についても、これまでに解析対象としていた系統を加えた合計35種37系統を用いて実施する。
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