研究課題/領域番号 |
17H03776
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 幸男 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60125987)
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研究分担者 |
中 秀司 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00443846)
松尾 隆嗣 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70301223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 性フェロモン / エポキシダーゼ / P450 / シャクガ科 / ヒトリガ科 |
研究実績の概要 |
・水槽(30×45×30cm)を改良した簡易風洞を作成し、ノメイガ類の雄に対する生物検定の系を確立した。大部分のノメイガはこの風洞で雌性フェロモンに対してフェロモン源まで正しく誘引されるが、ウコンノメイガなど一部の蛾では正常な反応が見られない問題が起きた。 ・人工飼料を用いた累代飼育の系を拡充し、これまで累代飼育ができなかった9種を新たに累代飼育することに成功した。また、トビモンオオエダシャク Biston robusta については、利島で大発生しているメス成虫を入手し、採卵することができた。現在、椿の生葉を用いた幼虫の飼育を試みている。 ・クワゴマダラヒトリLemyra imparilis の性フェロモン腺で発現し、フェロモン前駆体の9位の2重結合をエポキシ化する酵素遺伝子のクローニングに成功した。また、バキュロウイルス発現系により本酵素を発現し、そのエポキシ化酵素としての機能を確認した。本酵素はチトクロームP450酵素であり、CYP341Bファミリーに属していた。アメリカシロヒトリにおいて9位をエポキシ化する酵素もCYP341Bであることから、CYP341Bは9位にエポキシ環を導入することに機能が特異化している可能性がある。 ・ヨモギエダシャクAscotis serenaria の性フェロモン生合成酵素に関する情報を得るため、性フェロモン腺のRNA-seq解析を行ない、候補遺伝子を得た。 ・アメリカシロヒトリHyphantria cuneaの性フェロモン生合成に関与する酵素遺伝子の探索のため、性フェロモン腺と皮膚(対照)のRNA-seq解析を行った。性フェロモン腺で特異的に発現しており、生合成に関与する可能性の高い遺伝子候補を多数得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クワゴマダラヒトリのRNA-seq解析を繰り返す必要が生じたため、H30年度に研究を繰り越したが、その後はほぼ予定通りに進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
ヨモギエダシャクの性フェロモン腺のRNA-seq解析を行い、エポキシダーゼをクローニングし、その機能を検出する予定である。また、ノメイガ類を中心に多くのガ類の性フェロモンを再検討し、性フェロモン抽出物中にType-II成分であるT23, T25などの物質がないか精査する。
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