研究実績の概要 |
・性フェロモン前駆体(必須脂肪酸由来の不飽和炭化水素)の6位の二重結合にエポキシ基を導入する酵素遺伝子の候補をトビモンオオエダシャクBiston robusta性フェロモン腺のRNA-seqにより探索した。P450(CYP)であることやmRNA発現量に基づいて選抜した結果、Biston462 (Br_epo1)が候補として同定された。分子系統解析の結果、Br_epo1は9位エポキシ化酵素、3位エポキシ化酵素のいずれとも異なり、CYP4AUファミリーに属することがわかった。昆虫細胞でBr_epo1を発現させ、Z3,Z6,Z9-19:Hのエポキシ化活性を試験したが、現時点ではその活性を確認できていない。 ・スキバドクガPerina nudaの性フェロモンは、3位と6位の2か所にエポキシ環があることが特徴的である。性フェロモン前駆体炭化水素の2か所をエポキシ化する酵素を、性フェロモン腺のRNA-seqにより探索し、3つの候補遺伝子、Perina113、Perina477、Perina501を発見した。Perina113はCYP340、Perina477とPerina501はCYP341ファミリーに属していた。 ・Hybrid type性フェロモンの利用者には、a) アヤナミノメイガ、ナスノメイガ、カクモンノメイガのようにトリエンType II (Z3,Z6,Z9-23:H, Z3,Z6,Z9-25:H) を利用するもの、b)トウヒシントメハマキ(ハマキガ科)のようにモノエンType II (1,Z11-15:H, Z9-27:H) を利用するもの、c)モモノゴマダラノメイガのように両者を共に利用するもの、の3タイプが存在することが明らかとなった。
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