研究課題
今年度は、イネ以外のモミラクトン生産植物である蘚類ハイゴケのゲノムシーケンスから見いだされた遺伝子クラスターの存在が確実となってきたため、論文報告のプライオリティーを考えクラスター内遺伝子の機能解析に注力した。すなわち、遺伝子クラスターに存在する機能未知のP450酸化酵素について、ベンサミアナタバコにおける機能解析の準備を進めた。クラスター内に存在する2つのP450遺伝子Unigene12783 と Unigene16484について、ベンサミアナ導入用のプラスミドを構築し、モミラクトンの中間体である炭化水素ピマラジエンを基質として生産させたベンサミアナに共導入することで、モミラクトンAの異種生産に成功した。さらに、クラスター内に存在する脱水素酵素のHpMASを同時に加えることでモミラクトンA生産の増加が確認された。これらの結果から、ハイゴケにおいてもモミラクトンA生合成遺伝子がクラスターを形成することが示された。この証明は下等植物における二次代謝産物の生合成遺伝子クラスターとして初めての報告となった。ファイトアレキシン生合成遺伝子クラスターの制御を担う転写因子DPFについては、変異体の解析からジテルペン生産の鍵中間体であるゲラニルゲラニル二リン酸の合成に必要なGGPS遺伝子の制御にも関わることが明らかになった。DPFによる転写活性化能を指標として詳細なプロモーター解析を進めたところ、GGPS遺伝子の上流域の約100bpの領域がシス配列として機能していることを突きとめた。この結果から、DPFがジテルペン型ファイトアレキシンの生産に必要な代謝経路の内、上流GGPP合成から下流のファイトアレキシン生合成をになうクラスター内遺伝子に至る範囲の制御に関わる転写因子であることが明らかとなった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
Proc Natl Acad Sci USA
巻: Online ahead of print ページ: -
10.1073/pnas.1914373117
BMC Plant Biol.
巻: 19 ページ: 563
10.1186/s12870-019-2156-5