研究課題
トマトの生産する二次代謝産物など30化合物が青枯病菌の走化性に及ぼす活性を調べた。その結果、4-hydroxycinnamic acid (p-coumaric acid)と4-hydroxybenzoic acidがグルタミンに匹敵する強い走化性誘引活性を有すること、3,4-dihydroxybenzoic acid (protocatechuic acid)とjasmonic acidが弱い誘引活性をを示すことを見出した。一方、2-hydroxybenzoic acid (salicylic acid)は0.33μmol/discでは走化性誘引活性を示したが、3.3μmol/discでは忌避活性を示した。また、1.0μmol/discでは細菌の無指向性の運動を活性化したが、33μmol/discでは青枯病菌の活動を低下させた。このような水酸化芳香族カルボン酸の青枯病菌の走化性誘引物質としての報告は初めてである。昨年度に引き続き、ブラックマッペの根滲出液に含まれる青枯病菌の走化性誘引物質の精製を進めた。その結果、DIOLシリカゲルカラムクロマトグラフィーの10% MeOH-CHCl3画分に含まれる活性物質をethyl β-glucosideと同定した。一方、30% MeOH-CHCl3画分に含まれる活性物質はNH2シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、TLCでほぼ単一のスポットを示すまで精製を進めることができた。
2: おおむね順調に進展している
実験について特に困った点は無く、順調に成果をあげつつある。
今年度は①ethyl β-glucoseideが根滲出物の全走化性活性に寄与する割合の調査、②ブラックマッペ根滲出液に含まれる新規走化性誘引物質の単離構造決定、③トマト品種の青枯病抵抗性とethyl β-glucoseideの分泌量との関係の解明、を中心に進める。
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