研究実績の概要 |
平成29年度は、以下の2つの機能性について評価を実施した。 I. 米胚乳・米糠タンパク質が肥満に与える影響:一般の「米」のイメージと異なり、米胚乳(REP)・米糠(RBP)のタンパク質は体重増加や脂肪蓄積の抑制することが予備的に観察された。そこで今年度はまず肥満の進行抑制作用を調べた。6週齢の食餌誘導性肥満モデルC57BL/6JマウスにカゼインまたはREP, RBPで調製した高脂肪高ショ糖食(脂肪30%:大豆油7%+ラード23%, ショ糖20%)を摂取させ、12週間の飼育実験を実施した。その結果、RBP群で有意な体重抑制が(REPでは同様の傾向)、脂肪重量(腎周囲脂肪、精巣上体脂肪、腸間膜脂肪)でもRBP群で有意な抑制(REPでは同様の傾向)が見られた。また、糞中脂質排泄量はREP, RBPでともに有意な促進効果がみられた。脂肪組織・肝臓における脂質代謝関連遺伝子の発現(CPT1α, PPARγ, C/EBP, FABP4)を調べたが、今回は有意差が認められなかった。実験技術の問題と思われる。 II. REP・RBPが慢性腎疾患に伴うミネラル・骨代謝異常(CKD-MBD)に与える影響:糖尿病性腎症は骨折リスクの増加因子でもあり、本年度は糖尿病性腎症モデルZDFラットに対するREPの効果を調べた。7週齢雄性ZDFラットに20%カゼインまたはREPを10週間摂取させた。糖尿病性腎症の評価項目として、HbA1cと尿中アルブミン排泄で確認した。ミネラル代謝への影響を検討するために、副甲状腺ホルモン(PTH)、FGF-23の血中濃度を測定した。また、μCTを用いて大腿骨の微細構造の評価を行い、さらに骨強度への影響も3点曲げ試験で評価した。CKD-MBDで高値を示すFGF-23がREPにより有意に低値を示し、また骨微細構造および骨強度が有意に改善されることが示された。
|