研究課題
申請者らの予備的な検討から,米胚乳タンパク質(REP)の摂取が体内の細胞性免疫(Th1),液性免疫(Th2)のバランスをTh1側に偏向させることが示され,REPがTh1偏向誘導作用を介してアレルギー抑制作用を有している可能性が期待された。そこで本年度はREPの抗アレルギー作用を明らかにすることを目的に,アレルゲン感作モデルマウスを用いた検討を行った。供試動物として3週齢の雌性BALB/cマウスを用い,卵白タンパク質(E)あるいはREPをタンパク質源とした飼料を7週間摂取させた。アレルゲン感作モデルを作製するために,試験開始4および6週目に腹腔内にアレルゲン感作溶液(50 microg β-lactoglobulin,50 microL Al(OH)3,150 microL PBS(-))を投与した。試験開始4(アレルゲン感作前),7週目に採血を行い,血清中IgGサブタイプ,IgE濃度の測定に供した。また試験終了時には脾臓,パイエル板などを回収し,フローサイトメトリー解析,mRNA発現解析に供した。試験開始4, 7週目において,Th2側免疫応答の指標である血清IgG1濃度がREP摂取により有意に低値を示し,血清中Th1/Th2バランスの指標であるIgG2a/IgG1比はREP群で有意に高値を示した(4週目)。また,アレルギー発症に重要な血清中総IgE濃度はREP摂取により4および7週目で有意に低値を示し,REPが抗アレルギー作用を有している可能性が示された。一方,脾臓を用いたフローサイトメトリー解析では,血清の解析とは異なりTh1およびTh2細胞の存在割合に明確な変動はみられなかった。さらに,脾臓およびパイエル板の各種サイトカインの遺伝子発現でも明確な変動はみられなかった。以上の検討結果より,REPはTh2側の免疫応答を抑制し,抗アレルギー作用を有している可能性が示された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
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