研究課題/領域番号 |
17H03819
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤村 由紀 九州大学, 農学研究院, 特任准教授 (20390304)
|
研究分担者 |
兵藤 文紀 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (10380693)
瀬戸山 大樹 九州大学, 大学病院, 助教 (30550850)
三浦 大典 九州大学, 農学研究院, 特任准教授 (40532627) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | レドックス / 抗酸化活性 / 質量分析 / イメージング / ポリフェノール |
研究実績の概要 |
本研究では、既存の評価法で高い抗酸化活性が指摘されているカテキンのような機能性食品成分(ポリフェノール)を豊富に含む食品(緑茶葉熱水抽出物)の多検体迅速抗酸化性評価手法を新たに確立した。本手法は含有成分情報「成分量比バランス」から抗酸化性を判別・予測するものであるが、汎用的な多種成分一斉解析技術である液体クロマトグラフ質量分析法(LC-MS)よりもマトリックス支援型レーザー脱離イオン化法(MALDI-MS)の方が抗酸化性と高い相関を示す成分情報を取得できることが明らかとなった。このことは、MALDI-MS法の方が、LC-MS法よりも“より試料の状態を保持した形”での活性を鋭敏に捉えることが可能であることを示唆している。また、そのような抗酸化性を示すのに最適な成分の組合せを理論的に決定できる計量化学的アルゴリズムを開発することにも成功した。さらに、こうした成分コンビネーション情報を用いることで、複数の茶葉熱水抽出サンプルの多様な抗酸化性を視覚的に容易に判別できる「抗酸化チャート」の作成手法を構築することができた。本成果は、複合成分系である食品の機能性(抗酸化性)を含有する特定成分のコンビネーションにより、容易に示すことを可能とする革新的技術を提示するものであり、食品の高品質成分情報取得法に新たな道を切り開くものである。一方、生体レドックスの高感度・高精度可視化に向けた非侵襲的レドックス分子イメージング法(動的核偏極-核磁気共鳴画像化法:DNP-MRI)の技術開発では、carbamoyl-PROXYLをレドックスプローブとして用いることで、代表的レドックス関連疾患である非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の診断初期に変動するミトコンドリアのレドックス代謝変動を鋭敏に捉えることを可能にした。本技術は、バイオプシーによる所見よりもNASH診断に有用であることを示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた項目の進捗は若干遅れ気味であるが、次年度以降に行う予定であった抗酸化性評価および有用成分コンビネーションの提示アルゴリズムの開発が先に成功したため、研究計画全体の進捗としては概ね順調に進んでいると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
生体レドックスの可視化技術および生体レドックス制御に有用な食品中の有用成分のコンビネーション提示法のさらなる先鋭化を積極的に推進し、取得するデータやアウトプットデータの質的向上を目指す。
|