研究課題
カカオ、ブドウ、リンゴ中の代表的抗酸化成分であるProcyanidin C1の抗がん作用を仲介する細胞膜受容体として67-kDa laminin receptor (67LR) を同定するとともに、67LR/PKA/PP2A/CPI17/MRLC軸が重要な経路であることを見出した。これら分子は、抗酸化物質の機能を担う新たな生体内標的分子となる可能性が期待できる。また、緑茶の代表的抗酸化成分であるEpigallocatechin3-O-gallate (EGCG) の生理作用には 67LRを介したcGMP濃度の上昇が重要なシグナルとなるが、そのcGMP下流ではphospholipase C (PLC)が活性化されることを見出し、EGCGの67LRを介した多発性骨髄腫細胞の致死作用におけるcGMP/PLC/PKCδ/ASM経路の活性化が明らかとなった。こうした分子群もまた、抗酸化物質の機能評価に資する新たな生体内指標となることが期待できる。一方、統合失調症の分子機構には脳内レドックスバランスの破綻が関与する可能性が指摘されており、Cuprizoneで誘導される統合失調症マウスの海馬ではセリンやGABA等の神経伝達物質の変動が認められ、向精神薬Quetiapine投与でその変動が抑えられたことから、本代謝物の可視化が統合失調症の病態評価に役立つ指標となることが示唆された。また、このような脳内代謝物の局在解析に役立つ可視化技術の開発を試み、MALDI-MSイメージングにおけるマトリックス塗布法の先鋭化、すなわち、再結晶化を組合せた蒸着法の改良により、脳内代謝物の分布画像を高い感度かつ再現性で取得することに成功した。一方、生きたマウスのメラニンのラジカル特性を利用し、それを内在性プローブとしたDNP-MRI法を開発し、プローブ投与無しで生体内メラノーマのイメージングを可能とした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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