研究課題/領域番号 |
17H03822
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
財満 信宏 近畿大学, 農学部, 准教授 (40455572)
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研究分担者 |
佐々木 健 浜松医科大学, 医学部, 技術専門員 (20397433)
田中 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (50456563)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大動脈瘤 |
研究実績の概要 |
腹部大動脈瘤は腹部大動脈の進行的な拡張を特徴とする疾患であり、大動脈の拡張につれて破裂のリスクが増加する。破裂した腹部大動脈瘤の救命リスクは著しく低く、破裂を予防することが重要であるが、「破裂機構が完全には解明されていない」、「腹部大動脈瘤の治療薬が存在しない」、「腹部大動脈瘤の進展と食生活の関連に関する知見が少ない」などの課題が存在する。本年度は腹部大動脈瘤の進展・破裂予防法を確立することを目的として、①腹部大動脈瘤を予防しうる食品成分の探索とその作用機序の解明、②胸部大動脈瘤の病理解析を行った。以下にその概要を記す。 腹部大動脈瘤の進展から破裂に至るまで数年から数十年を要する。昨年までの研究により、食生活が進展速度や破裂率に影響を及ぼすことを報告した。その知見をもとに本研究は、腹部大動脈瘤の進展を予防しうる機能性成分の探索を行い、セサミン・セサモリン高含有ゴマ抽出物とDNA高含有サケ白子抽出物に血管壁の脆弱化を予防する効果があることを見出した。 我々はこれまでに腹部大動脈瘤壁に異常出現する脂肪細胞が破裂に関与している可能性があることを報告した。近年になって、オランダの研究グループも腹部大動脈瘤の進展に脂肪細胞が関与している可能性が報告すると同時に、ほとんど破裂することのない膝窩動脈瘤では脂肪細胞が観察されないことを報告した。この報告は、動脈瘤が形成される血管の場所によって脂肪細胞の出現に差異があることを示唆するため、胸部大動脈瘤の観察を行った結果、脂肪細胞の出現が確認された。胸部大動脈瘤においても脂肪細胞がなんらかの役割を担っている可能性が考えられるが、解析症例数が少ないため、今後さらなる研究が必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の申請計画において平成30年度に行うと計画したものはすべて達成し、原著論文3報、総説1法を報告し、計画自体は順調である。 挑戦的課題と設定していた内容にも進展があり、仮説を支持する結果が得られた。この課題に関しては、今後、論文として報告する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、腹部大動脈瘤の進展や破裂を予防しうる機能性成分の探索及び作用機序の解明を行う。それに加え、挑戦的課題と位置付けている「血管壁の脂肪細胞出現機構」を解明することに注力したい。平成30年度にその一端を解明しうる病理学的な現象をとらえたが、論文として報告するには至っていない。これを論文として報告したい、
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