研究課題/領域番号 |
17H03826
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 直人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90303255)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ブナアオシャチホコ / カラマツハラアカハバチ / 葉食性昆虫 / 昆虫病原菌 / 大発生 / 環境DNA |
研究実績の概要 |
最長34年間の長期にわたり密度変動を調査してきた東北地方の4地域(八甲田山・岩木山・八幡平・安比高原)のブナ林でブナアオシャチホコの幼虫の密度調査を引き続き行った。八幡平では2012-13年に執拗が目立つほどに密度が高くなったが、2014年には密度は減少し、その後は2017年まで減少を続けた。一方で、2006-2008年に大発生した八甲田山では、その後密度が低い状態が続いており、2017年においても顕著な密度の増加は認められなかった。安比高原・岩木山でも同様に密度は低い状態であった。2009年からカラマツハラアカハバチが大発生して、密度や天敵を8箇所の林分で調査している東大北海道演習林のカラマツ人工林では2016年までは失葉が認められるほどに密度が高い場所が認められたが、2017年にはすべての調査地で密度が低くなった。このまま密度が減少するのかどうか継続的に調査を行う必要がある。土壌から環境DNAを抽出する市販キットは数社から販売されているが、ほとんどの製品で、用いる土壌の量は0.5g程度である。多くの昆虫病原性糸状菌は、土壌の中でより偏在しているものと考えられ、サナギタケ以外の種は検出されなかった。サナギタケの子実体が多数観察されている周辺の土壌から抽出した環境DNAを使って定量PCRにかけても、検出はされたが、密度推定ができる下限よりも低いDNA量であった。そこで、1検体あたりの土壌量を増やすために、土壌懸濁液を利用して、環境DNAを抽出する方法を使ってDNAを検出する方法を試みた。現時点で、懸濁液を沈降させないとフィルターがめづまりを起こすことから、どの程度まで沈降させるのが適当かを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
翌年度には手法の確立に至るものと推測する
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今後の研究の推進方策 |
土壌懸濁液の調整を行うことによって、環境DNAの手法を用いて昆虫病原菌を検出する方法をH30年度には確立する
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