研究課題/領域番号 |
17H03827
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 正人 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (40345757)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リモートセンシング / レーザセンシング / レーザ計測 / ドローン / 精密林業 |
研究実績の概要 |
研究概要は「森林調査をせずに,広域の森林について樹種別の本数や森林資源内容を精度よく把握できれば,森林管理が格段に効率化するだけでなく,木材生産と再生可能エネルギーの資源利用に極めて有効である。研究代表者は,人工衛星の高分解能光学データから,針葉樹人工林の単木樹冠抽出技術をもとに樹木本数の半自動カウントを特許技術として開発してきた。さらに、三次元計測できるレーザセンシング(レーザ計測)を用い、国際的にオリジナルな発想から針葉樹林について高精度な樹冠抽出から材積までの森林資源量を算定する新技術を開発した(特許出願)。これら研究成果を踏まえ本研究は、レーザ計測を含めたリモートセンシング技術の林業分野への応用として、究極の目的である高精度な広葉樹天然林の樹種別資源量の算定技術を開発し、広葉樹資源の有効活用に貢献することを目指す。 29年度の研究実績は、研究フィールドの北信州森林組合、中信森林管理署、C.W.ニコル・アファンの森財団が所有する3カ所において、ドローンレーザを用いて計測して、高精度な樹冠抽出から材積までの森林資源量を算定し、現場からの森林資源調査の省力化技術に対するニーズをもとに、新技術を開発した。 1.ドローンによる階層別の樹高算定方法(特許出願) 本技術は、森林調査をせずに普及型ドローンの空撮から、オリジナルな階層別の樹高算定方法をもとに、1本単位での精密な森林資源情報を提供する。当該手法は、航空機、ドローンなどのレーザ計測の点群データにも使用でき、適用範囲が広い。林野庁、県・市町村、林業生産事業体が求める森林管理と日本林業の成長産業化に貢献する技術として、極めて有効な実用技術であると共に、国際的にオリジナルな研究開発である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空からのレーザ計測のみで、多大な労力と費用を要している森林調査と資源管理が効率的になり,経費の削減効果が大きい。未利用資源として扱われている広葉樹林の価値の見直し、林産業、バイオマス資源として有効利用できることから、学術的かつ産業的な貢献もでき、大きなインパクトを与えることができる。 平成29年度は、(1)ドローンレーザを用いて、精密な単木樹冠を自動抽出し、現場で求められている間伐木の自動選木と収穫の自動抽出技術に取り組んだ。(2)海外研究協力者であるフィンランド国最先端レーザ研究所のHyyppa教授の研究室を訪問し、最新航空レーザ計測技術の意見交換と共同研究による広葉樹資源量把握に取り組んだ。(3)技術の実用化と人材育成にむけて解析技術のフィンランド・日本合同シンポジウム「レーザーセンシングによるICTスマート精密林業in東京」を主催した。 これらの研究成果から、技術開発の進捗と研究成果のグローバルな発信を実施できたことから、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
森林タイプの異なる広葉樹天然林をもつ研究フィールドの北信州森林組合、C.W.ニコル・アファンの森財団において、ドローンレーザを用いて以下に取り組む。 1.精度検証のための詳細な試験地を設定する。 2.計測したレーザデータから広葉樹の単木樹冠を自動抽出する。自動抽出した樹冠から樹冠形状因子(面積、長さ、傾き、凹凸)と反射強度、RGBの色情報、樹冠点群密度を算出する。樹高と樹冠形状因子から胸高直径(DBH)を算定する。 3.フィールド調査で広葉樹から樹種の樹冠因子の測定と、画像で抽出した樹冠について、現地で樹種の同定を行う。 4.海外研究協力者であるフィンランド国最先端レーザ研究所のHyyppa教授の研究室を訪問し、最新航空レーザ計測技術の意見交換と共同研究による広葉樹資源量把握に取り組む。
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