研究課題/領域番号 |
17H03830
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
戸丸 信弘 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50241774)
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研究分担者 |
中川 弥智子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70447837)
石田 清 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10343790)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保全遺伝学 / 植物 / 国内外来種 / 交雑 / 絶滅リスク |
研究実績の概要 |
当該年度には、シデコブシとコブシの間で雑種形成が起こっているか、また、遺伝子浸透が起こりうるかという問題を検討するために、調査地1(昭和の森、愛知県豊田市西中山町)および調査地2(愛知県名古屋市守山区八竜緑地から尾張旭市森林公園までの地区)において以下の調査を行った。 1.成木・稚樹・実生の位置とサイズ測定:調査地1において、約28haの範囲を踏査し、シデコブシ、コブシおよび形態が中間的な成木(樹高H>1.3m)合計356個体を対象に位置とサイズ測定を行った。調査地2でも同様の調査を行った。また、調査地1において10m×100mの調査区を設定し、同様に、実生(H<0.3m)と稚樹(0.3m<H<1.3m)合計271個体を対象に位置とサイズ測定を行った。 2.成木・稚樹・実生を対象としたシデコブシ、コブシ、雑種の判別:各個体について核マイクロサテライト(nSSR)と葉緑体SSR(cpSSR)の分析を行った。nSSRでは21遺伝子座の遺伝子型を決定した。cpSSRでは3遺伝子座の遺伝子型を決定し、それらの組み合わせでハプロタイプを決定した。NEWHYBRIDS解析で系譜クラスを推定した結果、調査地1の成木では、シデコブシ14個体、コブシ235個体、F1雑種32個体、F2雑種17個体、シデコブシとコブシへの戻し交雑雑種がそれぞれ1個体と52個体、同様に、実生・稚樹では、それぞれ、13、187、28、9、5、25個体に判別された。F1雑種等が存在していることから雑種形成が起こっていることが判明した。また、両方の戻し交雑雑種が存在していることから、両方向に遺伝子浸透が起こりうることが示唆された。 3.葉形態の差異の解明:調査地1と2の成木から葉を採取し、葉の形状比、葉柄長、葉面積を測定した。調査1の結果から雑種の葉形態は両種の中間的であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施計画にしたがい、研究を遂行した。調査地2(愛知県名古屋市守山区八竜緑地から尾張旭市森林公園までの地区)においても調査地1と同様の調査がほぼ終了し、早々に取りまとめを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に従い、研究を遂行する。コブシ節3種(タムシバ、コブシ、シデコブシ)で別途開発された核ESTマイクロサテライトマーカーがシデコブシとコブシの雑種の同定に有効であることがわかったため、RADシークエンス(RAD-seq)は用いず、マイクロサテライトマーカーのみで解析を進めることにした。
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