研究課題/領域番号 |
17H03830
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
戸丸 信弘 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50241774)
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研究分担者 |
石田 清 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10343790)
中川 弥智子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70447837)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保全遺伝学 / 樹木 / 国内外来種 / 種間交雑 / 絶滅リスク |
研究実績の概要 |
当該年度には、前年度に引き続き、シデコブシとコブシの間で雑種形成が起こっているか、遺伝子浸透が起こる恐れがあるかという問題を検討した。また、シデコブシはコブシとの交雑によって繁殖干渉を受けているかという問題についても検討した。そのための調査地として、調査地1(昭和の森、愛知県豊田市中山町)と調査地2(愛知県名古屋市守山区八竜緑地から尾張旭市森林公園までの地区)、東山植物園、名古屋大学東山キャンパスを用いた。 1.シデコブシ、コブシ、雑種間における開花フェノロジーおよび花形態の差異の解明:調査地1において開花フェノロジー調査を行った結果、シデコブシ、コブシ、雑種(F1、F2、コブシへの戻し交雑雑種)は3月下旬から4月中旬までの間に重複して開花していた。したがって、時間的隔離はないことがわかった。次に、調査地1と2の開花個体から花を採取し、花弁数、花弁長、花弁幅、雌蕊数、雄蕊数を測定した。雑種の花形態はシデコブシとは異なり、両種の中間かコブシと同様であることがわかった。 2.種子段階における交配パターンの解明:調査地1においてシデコブシ、コブシ、雑種(F1、F2、コブシへの戻し交雑雑種)から種子を採取し、核マイクロサテライト分析を行って父性解析を行った。シデコブシとコブシの両母樹において、頻度は低いものの種間交雑が生じていた。雑種の母樹において、コブシへの戻し交雑の頻度が高かった。また、第2世代の雑種(F2とコブシへの戻し交雑雑種)は稔性を維持していることがわかった。 3.繁殖干渉に関する人工授粉実験:東山植物園と名古屋大学東山キャンパスにおいて、シデコブシとコブシの母樹を用いて人工授粉実験を行った。両種の間には種子段階までの生殖隔離が存在しないこと、およびコブシによるシデコブシへの繁殖干渉があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施計画に従い、おおむね研究を遂行することができて、当初、期待していた結果がおおよそ得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に従い、研究を遂行する。来年度は最終年度にあたるため、結果のとりまとめを行い、国内外来種コブシとの交雑が希少種シデコブシの存続に及ぼす影響を総合的に評価する。
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