東南アジアに生息する養菌性キクイムシ類のDNA情報を集積し、データベースを構築した。 イチジク樹を加害するアイノキクイムシについて、マイクロフォーカスX線 CT スキャンによるmycangiaの非破壊的観察を試み、断層撮影画像を連続的・効率的に得ることに成功した。さらに、様々な森林タイプで採集したトドマツオオキクイムシもマイクロCT観察し、mycangia構造が森林タイプ間で共通することを確認した。また、その構造を同属のアイノキクイムシと比較し、相違点を見出した。 イチジク株枯病におけるアイノキクイムシのmycangia共生菌の役割を証明するために、様々な菌種とその組み合わせの接種実験を行った。その結果、Fusarium属菌が、単独ではイチジクを枯死させないものの、株枯病菌による病徴の進展を助長・加速させていることが強く示唆された。 デイゴの衰退・枯死に関わるFusarium属菌の遺伝的多様性を明らかにした。また、各菌株を宿主木に接種し、その病原性を確認した。トドマツオオキクイムシのmycangia共生菌、ウルシを加害する樹皮下穿孔性キクイムシの随伴菌を明らかにした。 シロアリ類、ゴミムシダマシ類から多種多様な線虫を見出し、新種として記載した。ブナの葉がゴール(gall)化(異常に肥大)した部分からは、特定の線虫が分離され、新たな病原体の発見となった。
|