研究課題
本研究の目的は、複数流域における観測を元に、森林が持つ水質浄化機能がいつ、どのように、どの程度発揮されるかを水移動と水質形成のメカニズムに基づいて解明することである。このため、10分以下の短時間間隔での長期にわたる渓流水と地下水の水質観測を実施した。これを元に降雨時を含めた「森林の水質浄化機能」を、従来とは異なり、メカニズムに基づいて定量的な評価を目指した。多様な水文条件を持ち、かつ気候変動影響を受ける森林流域管理に対して、研究成果を応用することを究極の目的としている。研究採取年度はセンサーによる観測を継続した。観測は滋賀県内の森林流域において地下水と渓流水の観測を、岡山県内の森林流域においては渓流水の観測を行った。滋賀県内の森林流域にて渓流水の観測に用いている既設のセンサーからは、硝酸イオン(NO3-)濃度、溶存有機態炭素(DOC)濃度ともに、流量の変動に対して鋭敏に応答しているが、流量-濃度関係は一定ではなく、場合によって異なることが明らかになった。ただし、この装置の故障により、継続した長期安定的なデータの取得は不可能であった。岡山県内の観測では、雪に閉ざされる冬期を除いて安定的にデータが取得されたが、洪水時には土砂の発生により観測値の影響が出ることが明らかになった。これらの成果を2020年3月の日本森林学会にて発表する予定であったが、新型コロナウィルスの影響で大会が中止になったため、誌上にて発表を行った。以上の観測結果から、装置の製品としての長期安定性が課題として残ったものの、国内初の適用事例として得られた知見は非常に大きいものと考えられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Hydrological Processes
巻: 34 ページ: 1154-1166
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Hydrological Research Letters
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http://eureka.kpu.ac.jp/~katsu/
https://www2.kpu.ac.jp/life_environ/forest_hydro/index.html