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2019 年度 実績報告書

気候変化による山地林の分布移動速度とその要因

研究課題

研究課題/領域番号 17H03835
研究機関総合地球環境学研究所

研究代表者

中静 透  総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (00281105)

研究分担者 饗庭 正寛  東北大学, 生命科学研究科, 助教 (80751990)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード気候変動 / 分布移動速度 / 環境要因 / 景観要因
研究実績の概要

1.空中写真およびドローンによる写真解析により、ブナ林と針葉樹林の境界付近では、最近30年間で、針葉樹の下限が上昇しつつある一方で、ブナ林の上限はあまり上昇していないことが明らかとなった。また、現地調査結果のデータを合わせると、針葉樹の林冠木の枯死速度は明らかに下限付近で高くなっている一方、ブナの林冠木および稚樹はあまり移動していないことも解析でき、空中写真での解析結果を裏付ける結果が得られた。したがって、森林帯の移行スピードが退行側と侵入側で異なっている可能性がある。また、その原因として、ササ類のような林床植生による更新阻害の可能性が考えられたので、今後はそうした可能性についても解析を行う。2.融雪機を狙って、ドローンによる森林と湿原の移行帯周辺の撮影を行い、30年間で湿原の衰退が起こっている場所と残雪との関係を解析した。また、現地調査で、そうした湿原における土壌水のpHやECを測定し、融雪時期と環境条件、および競争関係にある木本種の成長と湿原の衰退の関係についても解析を行った。まだ予備的な解析結果ではあるが、融雪時期とpHにはある程度の関係があるものの湿原の衰退とは弱い間接的関係となること、湿原衰退の原因として可能性のあるハイマツの枝の伸長速度と融雪時期は関係しているものの、伸長速度と湿原の衰退には関係がないこと、また、融雪時期は優占する草本のサイズに関係があり、それを通じて湿原の衰退とも関係している可能性などが示唆された。 今後さらに、これらの解析を精緻化し、融雪時期と湿原の衰退の関係を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ブナ林の移行速度に関してはおおむね予定通りであり、湿原と森林の関係についても解析を始めることができた。

今後の研究の推進方策

最終年度にあたるため、これまでのデータ解析を進めるほか、補足的なデータ収集を行い、論文として投稿をめざす。また、森林と湿原の衰退に関しても新たなデータが得られつつあるので、この解析も進める。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] When and why trees decrease their resource allocation to apical growth? The importance of reproductive onset.2019

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, M., Umeki, K., Orman, O., Shibata, M., Tanaka, H., Iida, S., Nakashizuka, M. Masaki, T.
    • 雑誌名

      Oecologia

      巻: 191 ページ: 39-49

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s00442-019-04477-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of the spatial uncertainty of seed dispersal on tree colonization dynamics in a temperate forest2019

    • 著者名/発表者名
      Masaki, M., Nakashizuka, T., Niiyama, K., Tanaka, H., Iida, S., Bullock, J.M., & Naoe, S.
    • 雑誌名

      Oikos

      巻: 128 ページ: 1816-1828

    • DOI

      doi: 10.1111/oik.06236

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Ontogenetic variations in functional diversity of a woody species assemblage in a Japanese temperate forest2020

    • 著者名/発表者名
      Kurokawa, H., Iida, Y., Naoe,S., Oguro, M. & Nakashizuka, T.
    • 学会等名
      第67回日本生態学会大会
  • [学会発表] Resource allocation of trees to apical growth maybe reduced after onset of stable reproduction2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, M., Umeki, K., Orman, O., Shibata, M., Tanaka, H., Iida, S. Nakashizuka, T. & Masaki, T.
    • 学会等名
      第67回日本生態学会大会
  • [学会発表] 産業管理外来種であるモウソウチクとマダケの潜在生育適域は気候変動で拡大する2020

    • 著者名/発表者名
      髙野(竹中)宏平・日比野研志・小黒芳生・高薮出・中静透・尾関雅章・松井哲哉
    • 学会等名
      日本雑草学会大会
  • [学会発表] ブナ・アカガシにおける分布域周縁部の個体群変化とその要因2020

    • 著者名/発表者名
      遠山弘法・小山有夢・角谷拓・竹内やよい・中静透
    • 学会等名
      第67回日本生態学会大会
  • [図書] 人と自然の環境学2019

    • 著者名/発表者名
      中静 透(分担執筆)
    • 総ページ数
      25-40
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      ISBN978-4-13-063371-0
  • [図書] リスク学事典2019

    • 著者名/発表者名
      松田裕之・中静 透(分担執筆)
    • 総ページ数
      420-421
    • 出版者
      丸善
    • ISBN
      978-4-621-30381-8

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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