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2017 年度 実績報告書

樹木の生長、分岐を制御する植物ペルオキシダーゼの作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17H03846
研究機関九州大学

研究代表者

堤 祐司  九州大学, 農学研究院, 教授 (30236921)

研究分担者 河岸 洋和  静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (70183283)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードリグニン / ペルオキシダーゼ / 分化 / 分枝 / 生長
研究実績の概要

1. rCWPO-CのFCs(AHX、AOH、ICA、AICA)に対する変換活性をin vitro で行った。H2O2濃度と反応時間の条件検討を行った結果、2 mM H2O2と反応4時間でAICAとAOHの代謝産物が確認できたことから、大量反応の再度最適化条件を決定し代謝物の構造決定を行う予定である。
2. ポプラのCWPO-C変異体(過剰発現、アンチセンス、RNNi、pCWPO-C-GUS)を作成した。過剰発現体の個体再生率は極めて低く、現在まで3ラインが得られたのみであった。他の形質展開体は解析に必要なラインが得られた。
3. シロイヌナズナのCWPO-C過剰発現体を作成した結果、CWPO-C発現量と生長量には相関があり、CWPO-C発現量が多いほど伸長生長が遅れることが判明した。また、過剰発現ライン(OE11)矮化する個体が多数出現し、矮化個体の先端はフック状に曲がるあるいは、一回転した。OE11はいずれの個体も鞘が小さく、採取できる種が極めて少なかった。
4. シロイヌナズナ野生型とOE11を水平に置きの重力屈性を調べた結果、OE11は野生型にくらべ、重力屈性(立ち上がりが)緩慢で、立ち上がり時間が大幅に遅れた。また、屈性部位でCWPO-Cが強く発現することをGUSレポーターアッセイで確認した。
5. ポプラの根毛細胞を毛レーザーマイクロダイセクション(LMD)により選択的に取得し、定量的PCR(RT-qPCR)をGUSレポーターアッセイによる発現解析を実施した結果、毛根細胞にCWPO-Cの強い発現が確認された。以上の結果は、CWPO-Cが植物ホルモンの代謝機能を通して、植物の分化や成長に関与可能性を強く支持する結果であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. CWPO-CによるFCsの酸化活性評価においては、反応条件の確立に時間を要したが、H30年度以降は、順調に進行すると考えられる。
2. ポプラのCWPO-C変異体(過剰発現、アンチセンス、RNNi、pCWPO-C-GUS)の作成においては、過剰発現体をのぞき順調に進行している。また、過剰発現体の作成が進まない事実は、CWPO-Cが植物の分化や成長に強く関与する可能性を支持している。
4. シロイヌナズナのCWPO-C過剰発現体を用いた表現型解析結果は、CWPO-Cが植物の分化や成長に強く関与する可能を強く示唆しており、今後の検討は重要な知見を与える。
5. ポプラにおけるCWPO-Cの発現解析の結果は、CWPO-Cが植物の分化や分枝に強く関与する可能を強く示唆したことから、引き続き検討する。
6. in vivoのFCs類の定量については、定量に十分なサンプル量を得るのに時間を要したため、進行が遅れている。
上記6.は研究計画段階の予想を大きく上回るサンプル量が必要であることが判明したが、それ以外の研究計画は、順調に進行した。

今後の研究の推進方策

1. CWPO-CによるFCsの酸化活性評価においては、確立反応条件を用いて引き続き検討を行い、代謝物の構造を決定する。
2. ポプラのCWPO-C過剰発現作成を引き続き行う。
3. ポプラのCWPO-C変異体(アンチセンス、RNNi、pCWPO-C:GUS)を用いて表現型解析を行う。特に①ポプラ茎切片およびポプラカルスの発芽に対するフェアリー化合物の影響とCWPO-Cの関係解明、②ポプラの頂芽切断後の側芽が発生に対するフェアリー化合物の影響とCWPO-Cの関係解明、③ポプラの重力屈性時のフェアリー化合物の影響とCWPO-Cの関係解明
5. レーザーマイクロダイセクションを用いた、ポプラの分化微細組織におけるCWPO-Cの定量的PCR(RT-qPCR)を行う。
6. ポプラ植物体内のFCs類の定量とCWPO-C発現量との相関を解析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Expression analysis of transporter genes for screening candidate monolignol transporters using Arabidopsis thaliana cell suspensions during tracheary element differentiation2017

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Manami、Kegasa Takahiro、Watanabe Atsushi、Tamura Miho、Tsutsumi Yuji
    • 雑誌名

      J plant Res

      巻: 131 ページ: 297~305

    • DOI

      doi.org/10.1007/s10265-017-0979-4

    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナにおけるリグニンモノマー輸送体遺伝子の探索2018

    • 著者名/発表者名
      武内 真奈美、堤 祐司
    • 学会等名
      第68回日本木材学会大会

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公開日: 2018-12-17  

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