研究課題/領域番号 |
17H03847
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古賀 信也 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20215213)
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研究分担者 |
内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
鈴木 良一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 首席研究員 (80357300)
加藤 英俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ付 (60583747)
藤原 健 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (90552175)
池田 武文 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50183158)
岡野 哲郎 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (00194374)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非破壊 / X線CT画像 / 材質 / 水分生理 / 野外 |
研究実績の概要 |
野外に生育する立木の樹幹内を非破壊的に検査・観察することができるX線装置の開発を目指し研究を進めている.本研究では,平成25年度に製作した試作機の結果を踏まえ,より高品位の画像を取得できるように改良した装置を製作するとともに,その装置を用い立木状態の針葉樹や広葉樹の樹幹を撮像し,材質学的および水分生理学的見地から考察し,新たな知見を得ることを目的としている. 本年度は主に以下の内容について実施した. 1.線源と検出器の改良と装置全体の評価と調整:画像解像度の向上と大径木への対応を図るためX線源の改良を行った.また,短時間での連続照射による線源の高温化問題への対策を講じた.高品位3次元CT画像が得られるよう検出器の調整および画像処理方法について検討した.平成29年度末に製作した改良型X線検査装置を対象にX線評価システムによるX線源・検出器・制御部のバラック試験を行い,その評価結果に基づき装置全体の調整を行った. 2.平成29年度末に製作した改良型装置による室内での撮像実験:生材状態にある針葉樹4種(スギ,ヒノキ,カラマツ,アカマツ)および広葉樹3種(クリ,ミズナラ,シラカンバ)各1本の丸太(直径8cm~20cm)を改良型X線検査装置で撮像した.その結果、平成25年度に製作した試作機で得られた画像よりも高品位の3次元のX線CT画像が得られ,心材と辺材の水分状態の違い,節,腐朽,心材の年輪が明確に区分できることを確認できた.さらに,得られた画像をもとにターゲットとする測定項目・観察内容に適した最適検知条件等についても検討を行った. 3.安全対策:野外での立木を対象にした撮像実験に向け放射線障害防止等の法的規制や安全対策について情報収集を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績概要で述べたように,改良型のX線装置を平成29年度末に製作し,その装置のX線源や検出器等の部分的および全体的改良や調整に取り組みつつ,室内でしかも生材状態の丸太ではあるが,数種の個体の撮像実験を行い,前回の試作機よりも高品位の3次元CT画像が得られてる.これらの成果の一部は第69回日本木材学会大会で発表した.このように一定レベルの成果が得られており,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
1.昨年度に引き続き,画像解像度の向上と大径木への対応を図るため,X線源の管電圧の高エネルギー化,管電流の高出力化,焦点サイズの縮小,連続照射への対応等に取り組む.幹軸方向への撮影範囲の拡大およびより高品位CT画像が得られるよう検出器の改良および画像処理方法について検討する. 2.昨年度に引き続き,平成29年度末に製作した改良型X線装置を対象に,X線評価システムによるX線源・検出器・制御部のバラック試験と装置全体の評価を行うとともに,ターゲットとする測定項目・観察内容に適した最適検知条件の探索実験を行い装置全般の機能向上に向け,繰り返し改良・調整の作業を行う. 3.室内において,土壌の水分条件が異なる苗木数種・数個体を対象に一定間隔を明けて撮像実験を行う.また,マツノザイセンチュウ接種木の撮像実験,腐朽木の撮像実験等,小径の生立木を対象にした撮像実験等を行う.得られたCT画像を材質学的および水分生理学的見地から考察し,新たな知見を得る. 4.野外での実験に向け放射線障害防止等の安全対策について検討する. 5.今年度は研究期間の最終年度であることから研究成果をまとめ,一部は公表する.
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