研究課題
アサリ資源量減少は日本の広範な海域において報告されている。寄生原虫Perkinsus olseniの感染はアサリに対して致死的であり、また本虫は日本全国のアサリ個体群に蔓延しているため、アサリ資源量減少の一因と考えられている。興味深いことに、P. olseniと培養特性や生活サイクルがほぼ同じであるPerkinsus属原虫が国内には2種生息しているが、どちらもアサリへの蔓延には至っておらず、P. olseniはアサリへの寄生と伝播に適応した生理生態を備えていると予想される。そこで、本研究課題では耐性アサリ系統の作出や本虫の伝播が起こりくい生産方式の開発という本疾病対策確立に重要となる知見、すなわち、本虫の寄生と伝播に関与する生理生態を解明しすることを目的とした。研究計画最終年度である本年度は、アサリの免疫系を担う血球内におけるP. olseniの生残メカニズムについて検討を行い、P. olseniは他の微生物と異なり血球内での殺菌作用に対して抵抗性を有することが強く示唆された。また、宿主への感染体である遊走子作出プロセスをin vitroで詳細に調べた。その結果、寄生ステージである栄養体が遊走子を作る遊走子嚢へ発達するにあたっては宿主の栄養、特に脂質を必要とすること、遊走子嚢内部での遊走子形成にも宿主の栄養を必要とすることが示された。さらに、栄養条件の好適な環境で作出された遊走子は感染力も強いことが示唆された。また、遊走子が寄生ステージである栄養体に発達する様子をフローサイトメトリーで検出できる系を作り、この手法を用いることで、遊走子が寄生ステージである栄養体に発達するには宿主因子を必要とすることも示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Experimental Parasitology
巻: 209 ページ: 107827~107827
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Journal of Invertebrate Pathology
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