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2018 年度 実績報告書

顕微注入法を用いない全卵ゲノム編集方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H03860
研究機関京都大学

研究代表者

木下 政人  京都大学, 農学研究科, 助教 (60263125)

研究分担者 堀部 智久  京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20467468)
鷲尾 洋平  近畿大学, 水産研究所, 助教 (60771681)
家戸 敬太郎  近畿大学, 水産研究所, 教授 (90330240)
有馬 祐介  京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (90402792)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードメダカ / ゲノム編集 / 顕微注入 / 遺伝子導入
研究実績の概要

ゲノム編集技術は、その正確かつ簡便に狙った遺伝子領域を改変できるという特性から、基礎生物学から、医学、創薬学、農林水産学などの応用分野まで幅広く利用されている技術である。動物にゲノム編集を施す場合、通常、受精卵にゲノム編集ツールを顕微注入法により導入するという方法を用いる。しかしながら、多くの養殖魚の場合、計画的に、かつ、親魚にダメージを与えないで受精卵を得られる魚種は限られており、このことが水産業への当該技術の適用の大きな障害となっている。そこで本研究では、受精卵に顕微注入せずに魚類でゲノム編集個体を作出する方法の開発を目指す。魚類をはじめとする卵性生物では、卵巣以外の組織で卵黄タンパク質を生成し、血流を介して卵に蓄積する。この輸送システムに着目した。つまり、肝臓などでゲノム編集ツールを生成し、それを卵に送り込みゲノム編集を施すというアイデアである。
上記のアイデアを実現するために、平成30年度は、メダカを用いて、ビテロゲニンAタンパク質と融合した緑色蛍光タンパク質とルシフェラーぜタンパク質が肝臓から卵に輸送されるか否かを検討した。具体的には、女性ホルモンで発現を誘導するコリオゲニンH遺伝子のプロモーターにビテロゲニンA:ルシフェラーゼ:緑色蛍光タンパク質遺伝子を連結したプラスミドをメダカ受精卵に顕微注入法にり導入した。これらを成魚まで育成し、交配により次世代(F1 世代)を作出した。まず、F1世代の受精卵を各F0ペアーから40粒採取し、ルシフェラーゼ遺伝子を検出するプライマーを用いてPCRを行った。これまでのところ、約10ペアーをスクリーニングし、上記プラスミドを有するF1 を産卵するペアーを1組得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、メダカにおいて、ビテロゲニンBタンパク質のN末端の300アミノ酸を用いることにより、低分子のタンパク質(緑色蛍光タンパク質)を効率的に肝臓から卵に輸送できることを示してきた。しかしながら、同配列では、より高分子のタンパク質(ルシフェラーゼと緑色蛍光タンパク質の融合タンパク質)では、その輸送効率が大変低いことが判明した。そこで、平成30年度は、ビテロゲニンの異なる分子種であるビテロゲニンAの有効性を検討することとした。また、ビテロゲニンAの部分アミノ酸配列を検討するのではなく、全長配列を用いることとした。その効果を試すためのプラスミドは、全長で10kbp を超えるものであり、作製が困難と思われたが、作製に成功した。また、同プラスミドを有する遺伝子導入メダカの作出を試みた結果、これまでに導入プラスミドを有する次世代を産出する親魚を1組獲得することに成功した。このように、複数の候補配列を検討するための基盤が構築され始め、研究は、おおむね順調に進行していると考えている。

今後の研究の推進方策

ます、平成30年度に作出した、ビテロゲニンA-ルシフェラーゼ-緑色蛍光タンパク質遺伝子を有するF1個体を用いて、エストロゲン処理により、発現を誘導し、卵へのタンパク質の蓄積を蛍光顕微鏡による蛍光の観察、および、ルミのメーターによる発光の観察を行う。
加えて、養殖魚への応用を見据えて、マダイのビテロゲニン遺伝子の単離とメダカをはじめとする他の魚種との相同性を検討する。
また、引き続き、魚類細胞のカプセル化条件検討を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 卵内物質輸送を可能とするモデルメダカの作出2018

    • 著者名/発表者名
      村上悠、堀部智久、木下政人
    • 学会等名
      平成30年度 日本水産学会秋季大会

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公開日: 2019-12-27  

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