研究課題
本研究の目的は,双方向通信技術を用いて,遊泳している魚の生理状態を目視で容易に判別できるバイオセンサシステムを創出することである.今年度は,これまで作製したバイオセンサの測定原理にカーボンナノチューブ(CNT)の特性を応用することにより,各種センサの性能向上を試みると共に,昨年度までに作製した双方向通信システムを魚体に装着し,その作動について検証を行った.まず,未成熟状態の魚の雌雄を判別するためのバイオセンサの測定原理にCNTを適用し,測定ダイナミックレンジの拡大,および雌雄判別精度の向上を試みた.その結果,雌雄判別の指標となる11-Ketotestosterone(11-KT)の測定範囲の上限をこれまでの約10倍の値に向上させることができた.また,センサの特異性を検証したところ,11-KTの特異的な検出が可能であり,その測定値もELISAで得られた値との間に良い相関関係が認められた.次に,ストレス応答測定のための自家発電型バイオセンサの性能を向上させるため,電極材料として炭素電極基材を,メディエーターとしてCNTを用いた新たなバイオセンサを製作し,改良前のセンサの特性と比較検討した.その結果,ストレス指標となるグルコースの測定可能範囲を200 mg/dLまで拡大でき, S/N比も2.5倍に向上させることができた.さらに,双方向通信システムを2個体の魚体に各々装着して,それらを水槽内で遊泳させ,陸上にある送受信機からLEDの点灯/消灯をコントロールすることにより各個体の識別を試みた.また,これと同時に各個体のストレス応答をモニタリングしながら,ストレスの大小に応じたLEDの点灯色変化(赤⇔黄⇔青)の作動を検証した.その結果,本システムを用いることにより,個々の魚体を識別しながら,複数個体のストレス応答をLED点灯色から目視で容易に判別することができた.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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