先の研究において、申請者らは加熱変性したリゾチーム(DL)に抗ノロウイルス効果があることを発見した。リゾチームは細菌に作用する溶菌酵素であるが、加熱変性することによりペプチドとしての作用を持つようになり、これがウイルスを不活化すると考えている。本研究では、DLによるノロウイルス不活化機構とその応用性について研究を行い、加熱変性時のpHとウイルスの不活化能との関係を明らかにし、ペプチド中の任意のアミノ酸を置換することで効果が変化することも見出した。また、塩溶液中で凝集するという特徴がDLの応用の妨げとなっていたが、シクロデキストリンを利用することで溶解性を改善し、幅広く応用が可能となった。
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