研究課題/領域番号 |
17H03879
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 晋 九州大学, 農学研究院, 教授 (40183925)
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研究分担者 |
前田 幸嗣 九州大学, 農学研究院, 教授 (20274524)
森高 正博 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (20423585)
高橋 昂也 九州大学, 農学研究院, 助教 (70757955)
久保田 哲史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, グループ長 (80355669)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 和牛一貫経営 / 酪農経営 / 線形計画法 / 消費者官能評価 / 飼料用米及び稲WCSの供給関数 / 稲WCS / 牛肉需給モデル |
研究実績の概要 |
①まず、国産飼料を多給した和牛肥育および和牛一貫経営における給餌実態についてのヒアリングを行い実態把握に努めた。酪農経営においても、モデル農家を選定し、線形計画法による経営モデルの設計を行い、実証モデル分析に堪えうるモデルの開発を行うことができた。 ②牛肉の消費については、先行研究を整理し、牛肉に関する消費者(嗜好型)官能評価における留意点を整理した。これまでの消費者官能評価においては、特に粗飼料の給与に関するコントロール、牛肉の特性(格付け、BMS No.など)のコントロール、消費者の代表性の確保、評価項目および総合評価の相関関係の処理などに課題が残されていることが明らかになった。平成30年度は、これらに対する対処を明確にする必要がある。 ③飼料用米及び稲WCSの供給構造を計量経済学的に明らかにするために、それらの供給関数の推計モデル及び推計に必要なデータセットを構築した。また、推計に適した計量経済学的手法の検討及び予備的な推計を行った。その結果、飼料用米及び稲WCSの供給関数の推計には、都道府県別及び年次別のデータを利用したパネルデータ分析が有用である可能性が高いことを明らかにした。 ④政策効果を考慮し得る牛肉需給モデルを構築するために、国産牛肉の供給関数に新マルキン事業の補填金を組み入れた。その上で、同事業のTPP協定への対策効果について分析を行った結果、協定発効後、事業の法制化によって補填率が9割に引き上げられた場合でも、乳用牛の生産額の減少が14.2%減少から11.7%減少までしか緩和できないこと、また、その場合に国は312億円の追加的な予算が必要になることなどが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究メンバーの小課題は、研究環境に変化なく、ほぼ順調に30年度に向けた準備が整っており、おおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
①和牛経営及び酪農経営において、線形計画法を用いた国産飼料多給型経営モデルの開発を行い、国産飼料多給型経営の効果を明らかにする。 ②消費者官能評価の問題点をクリアするサンプルの抽出、データセット収集を行い、牛肉における美味しさの規定要因抽出を行う。 ③新規需要米の交付金単価、生産者価格の下落が、新規需要米の供給量の減少にどの程度つながるか、すでに開発したモデルで明らかにする。 ④牛肉需給モデルによるシミュレーション分析を行い、国産飼料多給型牛肉の拡大が、国産牛肉の生産量、及び農家所得に与える影響について明らかにする。
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