研究課題
本研究の目的は、これまで蓄積されてきた農林水産統計、具体的には「農林業センサス」、「農業経営統計調査」や「集落営農実態調査」等の個票データを用いて、①わが国農業・農村の動態や農家家計の変貌、すなわち、農業・農村のダイナミズムを明らかにするとともに、②ミクロ計量経済学の手法により、農業・農村政策の評価を定量的に行うことである。本年度は、主に「農林業センサス」や「集落営農実態調査」等の個票データを用いて、以下の点を明らかにした。第一に、「農林業センサス」の個票パネルデータを用いて、法人化が農業経営にもたらすインパクトを検討し、法人化は多くの地域で農産物販売金額の増加、六次産業化の展開や雇用創出に寄与していることがわかった。このことから、農業経営の法人化には、組織形態の変更にとどまらないインパクトがあり、雇用創出や六次産業化の展開といった形で地域経済に貢献する、波及効果を伴うことが示唆された。第二に、「集落営農実態調査」と「農山村地域調査」をマッチングさせた個票データの分析によって、集落営農を通じた農地の集団的利用が行われる条件を検討した。そして、基盤整備率や集落機能の水準が高い集落では、集落営農による農地の集団的利用が活発であることが示唆された。第三に、新潟県魚沼地区で生じた自然実験のケースを活用して、地理的表示が農家の生存率や農地規模に及ぼす影響を検証した。そして、地理的表示は、農家の存続可能性を高める一方で、離農を妨げることから、経営規模の拡大を阻害する効果も併せ持つ可能性などが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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