研究課題/領域番号 |
17H03882
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
荘林 幹太郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (10460122)
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研究分担者 |
張 采瑜 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (00612970)
高橋 大輔 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授(任期付) (30619812)
阿部 健一 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80222644)
木下 幸雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (90323477)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 政策概念 / 多面的機能 / 政策アクター / 政策フォーラム |
研究実績の概要 |
3つの研究目的に対応した、①国際制度比較、②都道府県定量分析、③制度的枠組み構築、の3研究コンポーネントにより本研究を実施した。①の国際制度比較では、5つの国や地域で実施されている農業環境政策の企画立案における『認識共同体』の役割を詳細に比較分析するための予備的調査を豪州、台湾、世界農業遺産、EU,日本について実施した。豪州と台湾については現地研究者と意見交換をするとともに政策関係者等へのヒアリングを行った。世界農業遺産についても、制度創設時の責任者への詳細な経緯ヒアリングを行った。EUについては海外研究協力者と意見交換を行うとともに、政策概念拡散分析の方法論について検討を進めた。日本については政策概念分析の更なる精緻化を行うためのデータ収集を行った。②の都道府県定量分析では、準備作業として先進的な都道府県の農業環境政策の政策の全体像を把握した。③の制度的枠組み構築では、平成29年7月にオランダユトレヒト大学で開催されたコモンズ学会世界大会において、本研究に係る特別セッションを主催した。そこで海外研究協力者であるEU共通農業政策専門家、世界農業遺産制度の専門家、中国の農業環境専門家を招聘し、研究代表者及び分担者を交えての認識共同体の役割分析研究の基本的フレームについて議論を行った。中国については、本研究の分析対象国には含まれていないものの、本研究の適用可能性について合わせて議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に応じた3つの研究コンポーネントは全体的に順調に進捗している。とくに①の国際比較については海外研究協力者との連携のもとに本格的分析の準備が整い、また③についても海外研究協力者及び研究代表者、分担者の参画のもとで分析の枠組み確立する議論を完了できた。都道府県に関する定量的分析についてはやや進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い2年目に予定する研究計画を推進する。具体的には以下の通り。 (1)「国際制度比較コンポーネント」:分析対象の各政策の企画にあたった中心人物へのインタビュー等により、政策立案に際して同人物に影響を与えた者を特定し、それらの者に対して同様のインタビューを行うことにより、ネットワーク分析を通じて拡散において重要な役割を果たしたアクター(「認識共同体」の候補群)を見出す。さらに、「認識共同体」候補群に分類された主要アクターに対するインタビューを通じて、「共有」に対して効果的と彼らが考える制度的枠組みを分析する。 (2)「都道府県定量分析」コンポーネント:農業環境政策強度指標を作成しそれを被説明変数としたパネルデータを作成し、計量分析を行う。この際、固定効果分析を行うことによって、地理的な条件など都道府県に固有な条件をコントロールする。考えられる説明変数は、一人当たり県民所得、農家世帯の平均所得、農業就業者の平均年齢、経済活動に占める農業の比率、県民に占める農家の比率、集落の活動水準(寄合いの回数など)、大規模経営体の面積シェア、公共水域の専有面積率などが想定される。 (3)「制度的枠組み構築」コンポーネント: 30年度については、30年7月に調整会議を東京で開催する。
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